10月27日~28日、青森県を直撃した台風25号により3週間延期された青森アカデミーが、昨年と同じく青森市合浦(がっぽ)地区にて行われました。
■総勢40人前後の参加者
1年ぶりの青森アカデミーは、心配した寒さもなく、懐かしい4棟の木造艇庫が並んでいました。目の前には広々とした青森湾が広がり、後ろには映画で有名な八甲田山がそびえ、それら雄大な自然の中では空気も美味しく感じられました。
受講生は市内の青森工業高校から男女部員13人、県内下北地方に位置するむつ市から大湊高校の男女部員10人、浅虫ジュニアヨットクラブから男子ジュニアセーラー1人、それぞれの指導者・関係者含め、2日間とも40人前後が受講しました。
そして、今回は大学卒業以来となる学連OBと再会し、その彼の娘さんが受講生の1人であったり、今年卒業したばかりの学連OGが参加してくれたりと、前回以上に賑やかなアカデミーになりました。
■制約を設ける
今回は、昨年に続いて2年連続のアカデミーということもあり、受講生の「考える力」を刺激してみようと試みました。
その方法は、講師が練習課題を与える替わりに、練習内容に制約を設け、そこから感じた問題点を受講生自ら解決してもらおうというものです。
具体的には、初日午前に15分ほどの上-下コースを3レースを行う際に、制約を「1本コースのみ」としました。左右どちらかのコースのみなので、レース前から海面を強く観察している様子が伺えました。その結果、スタートミス、コース選択、アプローチのタイミング等により優劣が出ることを実感したようです。午後も同じ条件を繰り返し、各艇が問題解決に取り組みました。その結果、スタートミスが減り、セオリーのロングタックを選ぶ艇が増え、慎重にアプローチするようになりました。
■「だからどうする? だからどうした!」
最初のミーティングで、レース中に感じた問題点について、次のレースまでに「だからどうする?」を考え、レース後に「だからどうした!」を説明してほしいと伝えていました。最初はとまどっていましたが、慣れるに従い積極的になってきました。
この傾向は海上でより顕著に現れました。2日目の午前中は、制約と所要時間は同じで、下-上コース(ランニングスタート)3レースにしたところ、初日の倍の早さで改善しているように見えました。不慣れなランニングスタートでさえ工夫しだし、最後は全艇が正解と思われるコースを選びました。
午後は制約を外したレース練習にしたところ、それでも受講生たちの緊張感は失われず、練習を運営していただいた顧問の先生方も「よく考えている」と感じたほどになりました。
最後のミーティングでは意識の高揚からか、受講生全員に「だからどうした!」を発表してもらわないと悪いとさえ感じました。
■最後に
この「考える力」を刺激した試みの成果は想像以上で、改めてジュニア・ユース世代の可能性を感じました。その後、全日本学生選手権(蒲郡で開催)のスナイプ級において、大学からヨットを始める部員が大半の京都大学チームがあわや優勝か! と思わせる準優勝を果たしました。ここにも、同チームの「考える力」があったのではと考えています。
青森県セーリング連盟、青森工業高校、大湊高校、浅虫ジュニアヨットクラブ、合浦ヨット倶楽部の関係者の皆様、この度も大変お世話になりました。確実に7年後の青森国体総合優勝に近づいています。へば。(レポート/山本悟)