第56回パールレースのダブルハンド部門の優勝艇TAMから参戦記が届きました。(J-SAILING編集部)
前夜祭のステージ上、「ダブルハンド部門でスタートするのは私たちTAMだけなので完走すれば優勝。だから安全運転でいきます」と言はったものの、ついつい安全運転を忘れてしまって少し痛い目に遭いましたが、なんとか無事完走できました。
その痛い目というのは…… スタートした夜、20ノットオーバーの追い風の中、ジェネカーをあげて走っていたところ、夜中に突然ジェネカーハリヤードが切れてしまいました。
海に流れたジェネカーを2人で必死の思いで回収し、キャビン内をドボドボにしながらもう一度ソックスに入れ直し、2本目のジェネカーハリヤードで再びジェネカーをアップ。またフネが機嫌よく走り出したのもつかの間。なんと1時間もしないうちにその2本目のハリヤードもまた切れてしまいました。
再び海に流れたジェネカーを必死の思いで回収。ただ今度はジェネカーも破れてしまった上に次のジェネカーをあげるハリヤードももう残っていませんでした。何度かのブローチングも原因かとは思われますが、1時間のうちにハリヤードが2本も切れるなんて聞いたことがありません。
そこからはもうメインセール頼りのヨタヨタセーリングでテンションもやや下がりましたが、眠気ともしっかり闘いながら江ノ島を目指し、なんとかフィニッシュまでこぎ着けました。このようにパールレース初出場の洗礼を受けたこともありレーティングを考えると散々な結果でしたが、おかげさまで完走でき、幸運にも優勝ということになりました。それにしてもダブルハンド部門が1艇だけというのはやはり寂しい。クルーが集まりにくいフネが多い中、2人揃えば出場できるダブルハンド部門がもっと賑やかになればと思っています。
確かに2人でのオーバーナイトレースは大変なときもあるので決して安易に考えてはいけませんが、今から来年のパールレースに向けてダブルハンドの練習をすれば充分に間に合うと思います。
私たちがセーリングしている大阪湾では毎年恒例の20マイルほどのダブルハンドレースにいつも20艇ほどが出ていますし、相模湾では初島ダブルハンドレースに毎回100艇近くが集まっていると聞いています。そんな中から何艇かでもパールレースのダブルハンドにトライしてみようというフネが出てきて賑やかになることを期待しているところです。
今回、完走できたことで優勝してしまった形になりましたが、優勝は優勝と割り切って2人とも気分を良くしてしまいましたので、来年もダブルハンドでパールレースに出場しようということになりました。だから、2年続けて私たちが優勝してしまわないように、来年は多くのダブルハンド艇が出場して盛り上がることを願っています。
最後に、レース実行委員会の皆さまをはじめ、今回のレースの開催と運営に携わっていただいた方々に心から感謝します。ありがとうございました。(TAM/横尾淳)