高松駅からフェリーターミナル周辺、そして新しく建て替えられたヨット競技場の施設は、昔を知る私には目がくらむほどの変化を遂げていた。
今回は小学2年生から高校1年生まで29人、指導者は保護者を含めて17人、新井浜海洋クラブからの参加もあった。
講習初日は20ノット近い風が吹き、2日目は一転して微風、強い潮に流されてバックするほどのコンディションとなった。変化に富んだおかげで、講習で話す内容に困ることがなかった。むしろ盛りだくさんになり過ぎることに注意を払ったほどである。
大勢のクラブ員、見守る指導者と保護者の多さに勢いを感じたが、そういったクラブにはある共通点がある。第一に指導者の怒声らしきものがない。指導者の役割分担がしっかりできている。技術的にしっかりしているだけでなく、総じて自ら重いものを持つことを厭わない。自然、笑顔にあふれた集団が形成されている。
さらに高松の指導者と保護者には、長くセーリングの普及に関わってわってきた方、セーリングの広報のプロフェッショナル、FRPボートの造船に関するプロフェッショナル、船外機メンテナンスのプロフェッショナルがおられる。以上は男性陣の紹介であるが、詳しく聞けば女性の戦力も兼ね備わっているに違いない。
ジュニアアカデミーは11年前に始まり、年間15回ほど開催してきたと聞く。講師はオリンピッック参加選手が中心となり、まとめ役は一貫して中村氏が担ってきた。私もはっきりとは記憶していないが、5、6回ほど手伝わせてもらったと思う。また、当初、「シーマンシップアカデミー」のタイトルで実施され、11年前から変わらず受講者に配る冊子がある。「ジュニア・ユースセーリング シーマンシップアカデミー教本」である。
目次は「1、シーマンシップについて」「2、操船技術について」「3、安全について」「4、ルールについて」「5、環境について」、最後に「未来のシーマンたちへ」の全7ページの冊子だが、これを一貫して過去のオリンピック出場選手たちが説いてきたところにアカデミーの真価があると考える。
近年スポーツ界に限らずよく耳にするようになった「integrity」(誠実・真摯・高潔)、各種の「harassment」(人を困らせること・嫌がらせ)の戒めを、従来の「good manner」や「sportsmanship」に加えて、2020年東京オリンピッック以降の指導者を含む全セーラーへのメッセージとしてこれまで通りオリンピッック出場選手の口から伝えていくというスタイルで継続してはどうだろうか。
私は未熟だった自分の過去のharassmentに関する間違いを包み隠さず話し、これからのセーリング界を担う選手や関係者に訴えてきた。今回のジュニアアカデミーにおいても話を聞いてもらうことができた。許されないこと、なくさなければならないことを……。
B&G高松海洋クラブのますますの発展と楽しいクラブライフが続くことをお祈りします。
2日間を通し私の話すことに耳を傾け、私の目を直視して外さない、輝きにあふれた子どもたちの清々しさに感動しました。この喜びに感謝いたします。(小松一憲/ジュニアユースアカデミーコーチ)
