ジュニアユースセーリング・シーマンシップアカデミー 稲毛リポート2017/Aug/03

受講生とコーチで記念撮影です

受講生とコーチで記念撮影です

7月15~16日、ジュニアユースセーリング・シーマンシッ プアカデミーが千葉市スポーツ振興財団稲毛ヨットハーバーで開催されました。

講師は佐藤麻衣子氏と轟の2人で、受講生は千葉市立磯辺中学校、千葉市立稲毛高等学校附属中学校、夢の島ヨットクラブ、横浜市民ヨットハーバージュニアヨットクラブ、稲毛ジュニアセーリングクラブ、千葉ヨットビルダーズクラブジュニアの小中学生たちです。

日本列島に梅雨前線が停滞し続け、梅雨明けがはっきりしない状況でしたが、幸いにも天候に恵まれ、適度な軽順風の中シングルハンド(レーザーラジアル・シーホッパー)とOPで2日間たっぷりとセーリングすることができました。

初日の午前中は各個人のスキルを把握するために帆走と上下マークラウンドを行い、そこで見つけたウィークポイントを午後の出艇前に確認し、参加選手全員と「なぜ良くないのか? どうしたらいいのか?」を考え、それぞれの答えを出してから出艇しました。たとえば、ダウンウインドでアンヒールし過ぎてバランスを崩し、立て直す時にティラーを押して修正することで、ヘルムに逆らい水の抵抗が増してボートスピードを落としている、といったことなどです。

自分の考え方や答があっているのかが分からず、間違えることが恥ずかしい子や皆なの前で話をすることに慣れていない子も多く、ミーティングの中での質問は少なかったですが、可能な限り考え方を発表し、普段何気なく行なっている動作や考えを整理し、練習に臨むプロセスを身につけてもらうことを心がけました。

最終日はレースを行い、各自が学んだ内容を実践し、課題の克服や新たな課題の発掘につながるレースとなりました。
特にスタート1分前のライン付近で待つ位置の重要性、上マーク回航前の段取り(バング、カニンガムの適切なトリム)と次のレグの情報収集(マーク位置、次のマークに対する風の角度とブロー)、回航後のボートバランスとスピードの大切さなどを理解することで、新たな課題を見つけた子どもたちも多かったとようです。

海上で伝わりにくいことは、お手本として実際にやって見せることを心がけました。
かつての私も、最初に理論的に考えるよりも、見てイメージを膨らませる方が習得しやすかったので、私が子どもの頃に返った気持ちで一緒になって練習しました。もちろん後で理論は説明しましたが。

いつも言っていることですが、日頃の練習をいかに身のある練習にするかが非常に大切です。そのためにも取り組む姿勢、考え方を今回もていねいに伝え、選手、指導者ともに情報を共有しました。

具体的には、
1.目的(目標)を明確にする「今日の練習は何のためにやっているのか?」(例:全日本予選通過、それとも優勝など)
2.今日練習する具体的な項目「今日は◯◯をする」(例:軽風ロールタック時にメインセールを引き込みながら、しっかり体重をかけてボートをロールさせる)
3.練習時間「どれくらい」(例:1時間)
4.練習に取り組む姿勢「どのように」(例:本番のレースのように意識を集中させる)。
今日は何を習得するのか? という小さな目標を必ず立て、練習を無駄にしないこと。その努力の積み重ねは知らないうちに自分を成長させ、目標に向かってステップアップできる。

このような練習を続けていると、自然に自分で考える習慣が生まれ「自らで考える力」が養われます。他のトップセーラーも同様だと思いますが「人間は自分で努力し、気づいたことは決して忘れない」と私も考えています。その蓄積はやがて大きな力となり、持続させることでさらに成長し、いつの日か自らの夢を実現させるのです。
本アカデミーは、私たちが選手やコーチとして得てきた知識や経験を共有できる素晴らしいプログラムです。是非、今後もより多くの地域で開催されることを期待しています。 (レポート/轟 賢二郎)

JSAFジュニア・ユースアカデミー委員会
https://www.jsaf.or.jp/hp/about/committee/j-academy

OP級に乗る轟コーチ

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佐藤コーチの陸上レッスン

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海上での一コマ。皆、真剣です

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轟コーチがアテネ五輪で獲得した銅メダルを披露してくれました

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轟、佐藤コーチの初日朝の講義

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