このたび、JSAFジュニアアカデミーの講師を初めて担当させていただきました。
このような貴重な機会をいただきましたJSAFならびに富山県セーリング連盟の皆様に、心より感謝申し上げます。
今回の活動を通して特に印象的だったのは、富山県の恵まれた練習環境です。艇数が充実していることに加え、コーチの皆様が選手一人ひとりに熱心に関わっておられる姿が印象に残りました。
今回は、ILCA6が4艇、シーホッパーSRが2艇、シーホッパーMRが2艇、ミニホッパーが2艇の計10艇で練習を実施しました。年齢や経験、使用艇などに違いはありましたが、どの選手もセーリングに対する熱意は共通しており、非常に意欲的に取り組んでいました。

開会式&シーマンシップについての講義
■艇の確認から始まる練習
海上練習に入る前に、まず艇の確認を行いました。特に、シートがスムーズに引ける状態になっているか、安全に海上から戻って来られる状態であるかなど、練習に必要な最低限の艇の状態を陸上で確認しました。
セーリングは、艇の状態が技術の発揮に大きく影響する競技です。どれだけ海上で練習を重ねても、艇が適切に整備されていなければ上達にはつながらないと感じています。今後、選手たちが自分たちだけで練習を続けていくためにも、艇整備の重要なポイントを確認した上で海上練習へ臨みました。

出艇前のミーティング

陸上でのスタートラインシュミレーション
■ハンドリング練習で「気づく力」を育てる
海上では、アビームでマーク回航をする、ハンドリング練習を中心に行いました。
ただ繰り返すのではなく、自分で「成功したのか」「うまくいかなかったのか」を判断できるようにすることを目的としました。
そのため、出艇前に陸上で、自分の前にいる艇との距離を視覚的に確認し、海上ではその距離を維持することを目標に練習を行いました。すると、選手たちは「どの場面で距離が離れるのか」「なぜ離れたのか」を自分たちの言葉で説明できるようになっていきました。
特に印象的だったのは、「マーク回航のたびに遅れてしまう」「その原因はセールトリムが合っていなかったからだ」という気づきが選手たち自身から出てきたことです。原因を理解し修正することで、前艇との距離を維持できるようになり、「自分たちで上達を実感できる練習」につながっていました。
手応えを感じながら一つの練習を終えられたことは、選手にとっても大きな成果だったと感じています。また、このように自分で原因を考え、修正する経験は、今後それぞれの所属チームへ戻った後も、自分たちだけで課題を解決していく力につながると感じました。
■段階的なマーク回航練習
マーク回航練習では、テーマを明確にして、動作を身につけることを重点的に行いました。
例えば、上マーク回航では、
・回航前に必ずバングを抜く
・スターボードから回航する
・ポートタックからタック後すぐに回航する
・スピードを落とさずに回航する
など、一つずつ条件を設定しながら練習を進めました。
一度に多くのことを求めるのではなく、段階的に課題を設定することで、一つひとつの技術を確実に習得することができていました。その結果、練習後には「今日は○○ができるようになった」「今日はこの技術が上達した」と、選手自身が成長を具体的に言葉にできるようになっていたことが印象的でした。

山本コーチによる420グループ

藤井コーチによるシングルハンドグループ

中村コーチによるOPグループ
■選手主体のミーティング
今回、もう一つ印象に残ったのはミーティングの時間です。
初めは私から話をすることが多かったものの、練習を重ねるにつれて、選手たち自身が海上で感じたことや疑問に思ったことを積極的に挙手して質問するようになりました。
「なぜうまくいかなかったのか」「どうすればもっと速く走れるのか」と、自ら考え、言葉にしようとする姿勢が多く見られました。
その姿から、選手たちが海上での経験をただの体験で終わらせるのではなく、次につながる学びとして捉えようとしていることを強く感じました。

着艇後は、グループに分かれてミーティング
■おわりに
今回のジュニアアカデミーでは、技術を教えることだけでなく、「自分で気づき、考え、修正する力」を育てることを大切に指導しました。セーリングは、自然を相手にする競技であり、毎回同じ状況はありません。だからこそ、指導者から答えを教わるだけではなく、自分で原因を考え、改善していく力が今後の成長には欠かせないと考えています。
今回の経験が、選手たちがそれぞれの練習環境へ戻った後も、自ら考えながら成長を続けるきっかけとなれば幸いです。

立山連峰をバックに集合写真
最後になりますが、このような貴重な機会をいただきましたJSAFならびに富山県セーリング連盟の皆様、コーチの皆様、そして熱心に取り組んでくれた選手の皆さんに心より感謝申し上げます。今後もジュニア選手の育成に少しでも貢献できるよう努めてまいります。(講師 藤井あゆ美)
