提言書:危機管理の立場から見たヨットレース主催とは2016/Oct/11

安全・危機管理WGでは1年前「レース主催」をテーマに、危機管理の立場から提言をしたところですが、その後更に現場を意識して会議を重ね、最前線での一助となるであろう安全対策・緊急対応フローチャートを作成し、先般の加盟団体代表者会議において報告いたしました。
それに加え今後JSAFが安全事故防止対策を講じていく上で、WGにおける協議の中で出さ
れた課題等を纏めたので下記のとおり、提言として報告いたします。


1.安全対策・緊急対応フロ-チャート(オフショア・インショア)※別添チャート(リンク、又は右サイドバー参照)
 このフローチャートは、レース現場を意識して最悪の事故発生を想定した上での、事前準備から事故後の処理に至る一連の作業を、時間軸でフローチャートに表現しました。またレースを運営する方々が、一目でチェックできるように全体作業を 1 枚に纏めました。これが少しでも安全対策の一助になればと思います。

 二種類用意しましたが大型艇とディンギーに分けず、オフショアとインショアに分けたのは、大型艇であっても上下レースやほぼ全体が目視できるレースにおいては、差異があるとしてもその対応はディンギーに近いということが理由です。
 ただ、これはマニュアルではなく一つの例として受け取っていただきたく、実際の現場ではそれぞれの関係者がそのレースや現場に適したものにアレンジして利用することにより、万全のレース運営を期待します。
 このフローチャートが有効と判断されるなら、JSAFにおかれましては加盟団体等への周知やJSAFホームページへの掲載を望むものであります。

2.今後の安全事故防止対策を進めるうえでの課題
 事故を未然に防ぐための一番の教科書は、事故例の正確な解析と原因究明及びそのことから導き出される対応策の普及にあると思われます。しかしながらヨット界の実情を見てみると、事故発生に伴う報告は当事者に対して外洋安全委員会あるいはレース委員会等から提出をお願いしても報告(正確綿密な)がなされないことが多いため、事故防止対策を纏めようにも十分な手がかりが無いのが現状です。
 その根幹にあるのはJSAFと加盟団体・特別加盟団体との間に権利と責任、義務に係る契約が無いからだと考えます。現状では事故報告書の提出をお願いするだけに留まっているが、本来は義務的に報告が上がってくるような体制を作り出す必要があると考えます。すなわちJSAFへの加盟によって発生する権利等を行使するからには、その責任と義務に係る契約締結を加盟の条件とすることが不可欠であると考えます。

3.事故発生後のサポートチームについて
 JSAFとしても最悪のことを考えた場合、事故発生後の対応に対するサポートチームが必要なのかあるいは不必要なのか、またその範囲は何処までにするのか等、検討する必要があるのではないかと考えます。

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