51年前の1964年10月、第18回オリンピック東京大会のヨットレースが江の島沖、相模湾で行われた。
5.5mメーター、ドラゴン、スター、フライングダッチマン、フィン――各クラスの各国選手が集い、日本のヨット史上、初めての本格的なヨットレースが行われた。当時ノルウェーの皇太子で現国王のハーラル皇太子が5.5メーター級「FRAM Ⅲ」(セールNO. N-27)の舵をひく若々しい姿が印象的だった。
当時の日本は高度成長期の真っ只中で、首都高一号線や新幹線ができ、先進国の仲間に入った時期で、江の島にはクラシックで美しいヨットクラブハウスや聖火台が新設された。
そのころすでにニューヨークに住んでいた私は、当時の12mクラスのアメリカズカップの公式カメラマンとして、ニューポート(ロードアイランド州)で撮影に明け暮れていた。そんなある日、当時の日本ヨット界のドン小澤吉太郎さんから撮影しに帰って来いという手紙(JOC Official Letter)を受け取り、帰国した。
それから半世紀、今年3月ちょっと立ち寄った江の島で、江の島ヨットクラブが主催する第18回ノルウェーカップレースが相模湾沖で行われることを知った。日本の海も久方ぶりと思い、「撮影したい」と言ったところ、そこに居合わせた江の島ヨットクラブジュニア部門の青山篤さんが彼のテンダーを出してくれることになった。
レース当日、青山さんはレース海面のポイントをまわってくれた。さすがにヨットのベテラン、撮影したい好位置にピタリとボートを寄せてくれ、久しぶりに日本での撮影を満喫することができた。私のアメリカでの撮影艇「TRI-POD(三脚号)」(33ftの250HPx2のアルミ艇)のクルーだったらなあーと夢想したが、おっとこれは畏れ多い!!
4月18日NE10m前後の風が吹き、波もチャピー。OPクラスの若いセーラーの沈が多く見られたが、恐れずあわてず艇を起こすさまを見て、2020年の東京オリンピックでの日本選手の活躍に希望をもった次第。
51年ぶりの素晴らしい撮影のチャンスをいただいた江の島ヨットクラブの皆様のご厚意に感謝いたします。写真はともに今年のノルウェーカップレースの1シーン。(中嶋房徳/Marine Photographer)