
講習を終えて集合写真
7月27日(土)~28日の2日間、福岡市は小戸ヨットハーバーにて第5回ジュニアユースセーリング・シーマンシップアカデミーが開催されました。今回の対象は、福岡セーリングクラブの小中学生17名、艇種はOP、ILCA6、420で、講師は私、外薗が務めました。

コース取りについて説明する外薗コーチ
2日間をとおして高温が予想されていたため、まずは体調管理を一番に考えて、地元指導者の皆さんと相談の上、海上練習時間の圧縮や十分な水分補給等の休息を挟むことにより、講習会を安全且つ円滑に進めることができました。
皆さんからのリクエストにより、まずはコース引きの基本的な考えを講習しました。具体的にはスタートでの有利不利の見分け方、リフト・へダーの見分け方、風が振れた時のコースエリアの使い方です。講習後、午前中の残された時間の中で子どもたちのセーリング力がどれくらいなのかを海上で確認しました。海上練習内容は、風速2~10ktの中、1レース20分程度の上下2ラップコースです。午前中の課題としてはスタートラインの把握、スタートの待つポジション、的確なクローズの角度、ダウンウィンドでのアンヒールの角度、リフトへダーのブローの見分け方などで、次のようにアドバイスしました。

出艇前のブリーフィング
1.スタート
・しっかりと見通しを取ること
・スタートの1分前にはラインから3艇身以内でスターボード待機しておくこと
・他艇のラダーが見えるポジションではなく横に見えるポジションにいること
2.的確なクローズ角度
・目線の7割程度をテルテールに向けること
・エクステンションの長さを的確に持つこと
・ヘルムを感じること
3.リフトへダーの見分け方
・ブローが近づいてくる角度の確認(前からか後ろからか)
・マークに対しての見える角度の変化を感じること
・景色の変化

特に成果著しかったスタート
午前練習の振り返りを挟んで、午後からは風速10ktの中、1レース30分程度の上下2ラップコースで海上練習を行いました。午後の練習を通じて徐々にそれまでのアドバイスがセーリングに表現できるようになったと思います。

アドバイスを送る外薗コーチ
2日目午前の海上練習内容は、風速6kt前後の中、1レース15分程度の上下2ラップコースを2回のスタート練習後に行いました。スタートの回数を増やしたこともあり、フリート全体がスタートラインを把握したうえで、初日からは見違えるようなグッドスタートを切れるようになりました。また、自ら考えで有利なサイドからスタートできるようになり、子どもたちの成長に驚かされました。午後からは少しコースを長くしてレースに近い状況を設定しましたが、課題としたスタートも午前と変わらず、しっかりとラインを把握したうえでのグッドスタートを継続できました。コースに関しても上位3艇はリフトとへダー、ブロー、他艇を意識しながらコースを引いていたのが印象的でした。

良い風に恵まれた2日間
今後の取り組み課題としては、細かなセールトリム、タック、ジャイブの精度、ダウンウィンドでの波の使い方、クローズ・ダウンウィンド前後バランスの、混戦での抜け出し方などです。どれもセーリングをより楽しむ上で、重要な技術ですが、次に子どもたちのセーリングする姿を見られるのが今から楽しみです。
最後の振り返りで、セーリングを楽しむ上でも、技術を向上させる上でも、レースで良い成績を取る上でも大切なことは「事前の準備を怠らないこと」をお伝えした後、小学生からの質問がありました。「トップセイラーには何か共通した特徴がありますか?」でした。私が返答したのは、私見ですが、次の3つです。
1.セーリングが心の底から好きということ
2.決して何かのせいにしないこと
3.感謝を忘れないこと
講習をサポートしていただいた福岡セーリングクラブの皆さまへの感謝を申し上げるとともに子どもたちの活躍とクラブの益々の発展を祈念して私からのレポートといたします。(アカデミーコーチ 外薗 潤平)

振り返りにて