信州大町アカデミー2023/Jul/05
初めての開催地
6/24〜25、長野県大町市にある仁科三湖の一つで、最も南側にある木崎湖(きざきこ)にて信州大町アカデミーが行われました。
講師には私、山本悟(ロサンゼルスオリンピック代表)と佐藤麻衣子コーチ(シドニー&アテネオリンピック代表)が務めました。
正直なところ、私は今回の打診を受けるまで、大町市を知りませんでした。
受講生は、地元大町市を中心に諏訪市、伊那市から小4〜高2の子供達です。このほか、長野県セーリング連盟、B&G大町海洋クラブ、大町市スポーツ課の関係者総勢25人が参加してくれました。
事前に、帯同いただいたアカデミー委員会の山田州子さんから「湖で遊ぶというコンセプト」「セーリング初心者と経験者、2クラスでの実施」とメールをいただき、セーリング以外の遊びも交え初心者クラスを山本、経験者クラスを佐藤コーチが担当しました。
驚きの連続
会場となったのは、自然豊かな木崎湖キャンプ場に隣接するB&G財団大町海洋センターです。その艇庫は非常に良く管理され、様々なディンギーにカヤック、カヌー、SUP、ボードセイリング、手漕ぎボート等が紫外線の劣化を最小限に止め保管されていました。その中でも特に驚いたのは、建造から半世紀は経ていると思われる小型ボートが、ノスタルジー溢れるままに使用されていることでした。
そして、初日朝の合流時には、指導者の方々が熱心に準備されており、その熱量の高さにも驚かされました。
2クラスの練習
初心者クラスは、OP級に1~2回乗ったことがある小学生高学年男女でした。決して教え過ぎないことを心掛けました。慣れてきたと感じてから「ヨットはセイルを45度に出して、舵を真っ直ぐにしておけば自然に進むよ」「これをアビームと言うよ」と、陸で図に書いて説明しました。このレスポンスは良いように見えました。練習後に感想を述べてもらうプレゼンタイムでも、「前回より遠くに行けた」とセーリングを感じてもらえた様でした。
それでも、全体を通して初心者へのコーチングは、まだまだ知識が足りないと反省しました。
経験者クラスは、小6から高2の男女をシングルハンド艇で行いました。中には、レーザー北信越大会や国体経験者と経験値も様々でした。
その条件下、四方を山に囲まれた盆地特有の振れ回る微風でも、佐藤コーチは諦めずマーク設置を続け、陸上でのミーティングと併せて、きめ細かいコーチングを行いました。そのエネルギーに受講生達も集中力を維持しました。
また、その努力が通じアカデミー終了に近い最終日午後2時過ぎから、北寄りの良い風が入りマーク回航練習が行われました。その充実ぶりは、順次着岸する各受講生の表情からも見て取れました。
コンセプト通り!
梅雨の最中に晴れ渡った最終日、木崎湖畔は樹々の緑が濃く、澄み切った空気と鮮明な青空の下、一層美しく感じられました。その午後、初心者クラスの受講生達は、無風となった湖の真ん中でコーチボートからのダイブを楽しんでいました。
そこに受講生のお母さんが下のお子さんをカヌーに乗せ、また別のお母さんはワンちゃんをSUPに乗せ、更にボードセーリング経験のあるお母さんがパドリングしながら来てくれました。皆さん大町市のお母さんでした。
この経験は、長く講師をさせていただく中で初めて見る光景でした。それは正に、湖で遊ぶというコンセプト通りに映りました。
最後に
昨年度より、アカデミー委員会の主旨であるシーマンシップの説明に、航海術に優れていることともに、自然とのコミュニケーション力を加えています。
今回の信州大町アカデミーは、圧倒的な自然環境でした。その中でコンセプトを目の当たりにして、自然とのコミュニケーション力に欠かせない要素に感じました。
長野県は、5年後に2巡目国体(国民スポーツ大会)を1巡目と同じ諏訪湖で開催予定です。その場に、木崎湖での練習を経た地元選手が活躍する姿を想像できます。
大町市を始め長野県の皆様、本当にお世話になりました。初めての開催地ながら、講師として参考になることばかりでした。
JSAFアカデミーが、更に新しい開催地に広がることを願っています。(山本悟)