ジュニアユースセーリング・シーマンシップアカデミー 高松レポート
課題を見つけてトライしよう!2019/Feb/05
■総勢40人の参加者
参加者はB&G高松海洋クラブのOPセーラーたち、松山、新居浜、牛窓からの選手、指導者を加えた総勢40人です。高松では毎年のようにシーマンシップアカデミーを開催していただいており、アカデミーコーチにとっても地元ジュニアセーラーたちの成長を見守ることが楽しみになっています。
■洗礼を受ける
初日の土曜日は朝から気温が低く、午前中は10~12ノットのほどよい風が吹きました。出艇数はOPのAクラスとBクラスの15艇です。「ほどよい」とはいいながら、軽風の多い瀬戸内セーラーにとってはそれなりの強風です。乗り慣れない風に悪戦苦闘し、沈艇も続出しました。どうしても厳しい選手はハーバーバックさせましたが、せっかくの練習機会と踏ん張って最後までセーリングすることができました。午後には20ノット近くまで風速が上がり、艇数を減らして出艇したのですが、それでも午前中にも増して沈艇が続出し、結局1時間ほどセーリングして全艇が帰着することになりました。
■課題を見つける
初日のミーティング内容は、苦戦した強風対策としてセールトリム、風に合わせたセールセッティング、ハイクアウト姿勢などが中心となり、基本的な技術の習得が大切であることを確認しました。とはいうものの、高松をはじめとする瀬戸内ではハイクアウト機会が限られるため、経験値や世代ごとに正しい情報を分かりやすく伝えるコーチの役目が重要であることを改めて考えさせられました。当の選手たちはケロッとしたもので、各々に課題を見つけているようでした。
■強みを見つける
2日目は土曜日とは打って変わって不安定な弱風と高松特有の強い潮。昨日とは条件が違って選手たちを悩ませるだろうと予測していました。ところが、レース練習では大人でも難しいコンディションをあまり苦にすることもなく普通にスタートし、きれいにアプローチを決めるのでした。瀬戸内で練習すればこその鋭く敏感な感性であると感心しました。
■シーマンシップ
瀬戸内育ちのセーラーたちは、複雑な海面のおかげで繊細さや辛抱強さ、変化への対応力などが磨かれます。相模湾のように広く、風や波に恵まれた海域で育つセーラーは豪胆さや基本技術の発揮の仕方、自然と体力が養われます。成長するにつれて様々な海域を遠征するようになり、経験を積むことによって人間力が磨かれていくのです。最後のミーティングでは、セーリングは総合人間力を求められるスポーツ、総合人間力とはまさしくシーマンシップそのものであることを選手たちに話しました。その後、参加選手全員に自分なりの総合人間力を列挙してもらいました。操船技術、気象学、ロープワーク、道具の知識、チームワーク、トラブルシューティング、好き嫌いのないこと、ルール等々、全員が発表することができました。
■おわりに
今回のアカデミーでは、高松海洋クラブの旭さんや谷さんを筆頭に、クラブの違いに関係なく、海上でのレース運営やビギナークラスのサポート等々、バックアップしていただき、特に安全面においては万全の体制を取っていただきました。また、お母さま方に振る舞っていただいた豚汁やミネストローネは抜群に美味しく、子どもたちへの深い愛情を感じました。いつも思うことですが、ジュニア世代には適性のあるコーチと親のサポートが必須です。選手たちはセーリングを楽しみ、技術を磨き、鍛えられながらも感謝の気持ちや謙虚さを忘れないでほしいのです。高松ではジュニアでセーリングを楽しみ、高校生になってヨット部のある高校に進学してセーリングを競技として続けるセーラーが増えてきたそうです。これからも、いろんな形のセーリングを長い人生を通して楽しんでくれたらいいなあ、と思います。(レポート/佐藤麻衣子)