9月23日~24日、残暑厳しい沖縄県石垣島で、ジュニアユースセーリング・シーマンシップアカデミーが開催されました。
受講生は石垣島を拠点とする石垣ジュニアヨットクラブのメンバー総勢11人。船がOP4艇しかないため、乗り回しで練習するという指導者泣かせの状況の下、2日間、海上練習を中心にしてアカデミーを行いました。
受講生はヨットを始めて3年目までの子どもたちです。とても元気で人懐っこく、順番を待っている間は綺麗な沖縄の海に飛び込み、泳ぎ、遊んでいるので、海を怖がる子どもは1人もいません。そして、自分が乗るときはヨットに集中するという、海に接するという意味では非常に恵まれた環境の中で練習を行っていたのが印象的でした。
OPのレースがほぼ毎週行われる本州の子どもたちとは違い、他水域との交流がなく、相対的に自分の実力を確かめる機会がないこと、船の運搬費がかかってしまうため遠征自体が難しいこと、技術面を向上させる情報、経験が少なすぎること等が課題になっており、それがとても気になりました。
そのためか、子どもたちからの質問が少なく、新しい情報をどんどん伝えることに重点を置き、レースが終わった後に具体的に気がついた点を伝え、それを修正するという作業を繰り返しました。
また、一緒に乗った子の中に「海は怖くないけど、沈をするのが怖い」という子がおり、「じゃあ一緒にやってみるか?」と誘い、2人で沈をさせ、起こす練習を行いました。すると「もう、怖くないよ」とニコニコしながら話してくれたのが嬉しい瞬間でした。
今回、サポートの方々には、「我慢すること。そして、答えを教えるのではなく、導いてあげるような言葉を使い、ほめて、盛り上げてほしい」とまずお願いしました。
例えばブームが出ていてメインを引いてほしいときに「シート引け」ではなく、「セールを見て」もしくは「ブームの場所は合っている?」と伝える。そうすると子どもたちは風に合わせる動きをし、その結果、適切なトリムになる。
そしてうまくできたら、必ず「いいね!」「OK!」とほめてあげる。こうすることで選手は必ず自分で考えるようになります。その結果、考えること、習慣づけること、反復することが行われ、最終的には努力したものが形になると思っています。私自身も注意していかなくてはいけないことだと、アカデミーをやらせていただくたびに感じます。
また、各地域に子どもたちを熱心に指導する指導者がおり、その方々のご尽力により、ジュニアが維持されているのがセーリング界の現実です。
今回も、自らが世界一周をし、海の素晴らしさ、厳しさを知り、息子さんにもヨットを教え、世界に通用する子どもを育て上げた前田さん、琵琶湖ジュニアから継続して子どもたちの指導をしている多賀さんという2人の熱血指導者とお会いし、お話をさせていただくことができました。
私自身も学ぶことが非常に多く、このような指導者との交流もこのアカデミーの重要な要素の一つであると感じています。子どもたちに、海に関わる方々に、私たちの経験を伝えられるこの事業が、これからも続くことを切に願っています。(レポート/関 一人)