
五輪出場をかけた最後の戦い「第55回フレンチオリンピックウィーク兼ラストチャンスレガッタ」
© Sailing Energy / Semaine Olympique Française
フランス・イエールで4月20日から27日まで「フレンチオリンピックウィーク兼ラストチャンスレガッタ」が開催されました。この大会はその名のとおり、7月に開幕するパリ2024オリンピックのセーリング競技出場国枠獲得の最後の選考大会で、日本からはすでに代表が決まっている男女混合470級以外の9種目に、出場国枠と日本代表をかけた21チーム28人が出場しました。

最後まで熾烈な国枠獲得の戦いを繰り広げた男女混合Nacra17級
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序盤に良いスタートを切ったのが男女混合Nacra17級の飯束潮吹/西田カピーリア桜良組と、女子49erFX級の田中美紗樹/永松瀬羅組です。混合Nacra17級は4枠、49erFX級は5枠を目指して参加艇がしのぎを削る中、初日からから国枠圏内をキープ。田中/永松組は最終日のメダルレース前に得点差で国枠獲得を確実にしました。プレッシャーから解放されたメダルレースは、土砂降りで視界不良のコンディション。着順は10位で本人たちは結果に満足していないようでしたが、着実に総合6位(国順4番)を守り一次選考の結果と合わせて日本代表に内定しました。

女子49erFX級で代表に内定した田中/永松組
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「今日のメダルレースは(プレッシャーがなく)良いレースをしようと思っていたのですが、少し悔いの残る結果でした。沢山の支援をいただいた方々に(五輪出場という)良い結果を伝えることができて嬉しいです。残りの日数はあまり多くないですが、しっかりトレーニングをしていこうと思います」(田中)
「ドイツチームが私たちをマークしてくることは分かっていましたので、落ち着いてレースを楽しもうと思いました。結果は残念(メダルレース10位)でしたが、メダルレースにはしっかり取り組むことはできたと思います。所属企業をはじめたくさんの方々に支援、応援していただき力になりました。オリンピックでは入賞するという目標に向けがんばっていきます」(永松)

オリンピック初出場を決めた田中選手(右)と永松選手とともに喜ぶコーチ陣
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プレッシャーとも戦いながらメダルレースを走る飯束/西野カピーリア組
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混合Nacra17級は暫定4位(国順4番)でメダルレースに進出しましたが、暫定5位のカナダとはわずか3ポイント差。カナダは日本より前を走り、かつもう1カ国を間に挟めば逆転が可能です。国枠獲得に向け非常にプレッシャーのかかる最終レース、日本はスタートからカナダにしつこくマークされ、1上ではカナダ9位、日本10位と先行されてしまいます。しかし、日本を意識しすぎたカナダは先行艇に追いつくことができず、そのままの順位でフィニッシュ。飯束/西田カピーリア組は、1ポイント差でオリンピックの国枠と日本代表の内定を掴み取りました。

レース終了後、ホッとして涙を流す西田カピーリア選手(左)と飯束選手
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「オリンピックの国枠を獲得できて嬉しいです。思っていたメダルレースではなかったですが、最後にギリギリで勝てて一安心です。今のままではオリンピックでは通用しないので、残りの日数で少しでも技術を磨いていきたいと思います」(飯束)
「一時はどうなるか心配でしたが、最後なんとか勝つことができて嬉しかったです。応援、サポートしてくださった皆様に感謝申し上げます。オリンピックまでのかぎりある時間を大切に、悔いが残らないように頑張ります」(西田カピーリア)

パリ大会から制式艇がiQFOiL級に変更されたウインドサーフィン種目
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メダルレースで大逆転し国枠を獲得、さらに優勝で大会を締めくくったのが男子iQFOiL級の富澤慎選手です。ここぞという時に力を発揮できるのはこれまでの経験値があるからでしょう。さすが、ベテラン。セーリング競技では国内最多となる北京大会から5大会連続出場を決めました。

逆転での優勝、国枠獲得、5大会連続の五輪出場を決めた富澤選手
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「率直に国枠が取れて本当に良かったです。今回のレースは格上の選手との戦いだったので、作戦なんて立てる余裕はなく、とにかくベストを尽くすだけというつもりでやりました。(東京大会までの)RS:X級は比較的簡単に出場国枠が獲れていましたが、今回は本当にギリギリ、ギリギリ獲れない状況だったところをギリギリ獲れたので、本当に嬉しかったです。今回は家族にも無理じゃないかと言われていたので『パパ獲っていたぞ!』と報告します。今回、優勝することができて、頑張れば意外と良いところへ行けるのではないかということが見えてきたので、今後、(パリ本番まで)もがけるところまでもがいてみようと思います。新艇種になってからなかなか成績が出ず、それでもずっと応援してくださった所属企業にはお礼を申し上げたいです」(富澤)
大会公式サイト →こちら
日本は先に代表が内定した混合470級も含め、4種目がオリンピックに出場します。一方、男子49er級、女子ILCA6級、男子ILCA7級、、女子iQFOiL級、男女のFormula Kite級はパリ大会の出場権を逃しました。開催国として全種目に出場した東京大会と比べると少し寂しいですが、少数精鋭の日本勢の活躍に期待しましょう。
【総合成績】
■男子iQFOiL級(出場国枠獲得)
1位:富澤 慎(トヨタ自動車東日本株式会社)*代表内定
2位:Noah LYONS(アメリカ)
3位:Vyron KOKKALANIS(ギリシャ)
18位:池田 健星(三重県スポーツ協会)
40位:倉持 大也(佐賀県スポーツ協会)
■女子49erFX級(出場国枠獲得)
1位:Aleksandra MELZACKA/Sandra JANKOWIAK(ポーランド)
2位:Gabriela CZAPSKA/Hanna RAJCHERT(ポーランド)
2位:Marla BERGMANN/Hanna WILLE(ドイツ)
6位:田中 美紗樹/永松 瀬羅(株式会社豊田自動織機)*代表内定
9位:松苗 幸希/畑山 絵里(株式会社建新)
17位:市橋 愛生/後藤 凛子(早稲田大学/青山学院大学)
■男女混合Nacra17級(出場国枠獲得)
1位:Natacha Violet SAOUMA-PEDERSEN/Mathias BRUUN BORRESKOV(デンマーク)
2位:Alican KAYNAR/Beste KAYNAKÇI(トルコ)
3位:Lucas CLAEYSSENS/Eline VERSTRAELEN(ベルギー)
5位:飯束 潮吹/西田カピーリア 桜良(株式会社エス・ピー・ネットワーク/関西大学)*代表内定
13位:渡部 雄貴/植田 実(瀬戸内ジョイクルーズ株式会社)
■男子49er級
1位:Jakob MEGGENDORFER/ Andreas SPRANGER(ドイツ)
2位:Yannick LEFÈBVRE/Jan HEUNINCK(ベルギー)
3位:Marco SOFFIATTI GRAEL/Gabriel SILVA SIMOES(ブラジル)
12位:古谷 信玄/高柳 彬(株式会社エス・ピー・ネットワーク)
23位:嶋倉 照晃/上園田 心太浪(早稲田大学/佐賀県ヨット連盟・SAGA MIRAIプロジェクトクトJV)
■女子iQFOiL級
1位:Katerina SVIKOVA(チェコ)
2位:Barbora SVIKOVA(チェコ)
3位:Johanna HJERTBERG(スウェーデン)
15位:須長 由季(ミキハウス)
17位:新嶋 莉奈(エリエール)
20位:大西 富士子(株式会社ホマレ電池)
■女子ILCA6級
1位:Ebru BOLAT(ルーマニア)
2位:Marilena MAKRI(キプロス)
3位:Lin PLETIKOS(スロベニア)
11位:冨部 柚三子(福井総合病院/大阪体育大学)
24位:山本 佑莉(岡山県牛窓海洋スポーツ振興会)
29位:ハムリン たりあ(カリフォルニアパシフィックチャータースクールLA)
■男子ILCA7級
1位:Jeemin HA(韓国)
2位:Karl-Martin RAMMO(エストニア)
3位:Khairulnizam MOHD AFENDY(マレーシア)
17位:鈴木 義弘(明治安田生命)
21位:黒田 浩渡(ナブテスコ株式会社)
25位:瀬川 和正(鳥取県米子産業体育館)
■男子Formula Kite
1位:Connor BAINBRIDGE(イギリス)
2位:Maksymilian ZAKOWSKI(ポーランド)
3位:Jan MARCINIAK(ポーランド)
37位:岩城 拓海
■女子Formula Kite
1位:Elena LENGWILER(スイス)
2位:Julia DAMASIEWICZ(ポーランド)
3位:Izabela SATRJAN(ポーランド)
21位:梶原 紗希(株式会社アーク不動産・CARPE DIEM HIROO・ダイナアシスト株式会社)