卒業おめでとう!
これから社会に出るみなさん、卒業おめでとうございます。
困難な時代に学生時代を送りそして社会に船出していくみなさんに、私からひと言、言葉を贈らせてください。
「君は、君の艇の船長であれ」
当たり前のことではありますが、君の人生は君のものであり、誰のものでもありません。
しかし往々にして社会という大海原に出ると、上司や偉い人、周囲の同調圧力、今まで出会ったことのないタイプの人からの言葉等々、君はより多くの場面に出会うでしょう。
もし君の中で迷いや違和感を感じたら、君は君を信じてください。
君にはその価値があります。
自分のことを思い浮かべると社会に出てから10年間くらいは、仕事も私生活も必死で、気持ちも時間もぜんぜん余裕がなく、新しいことを多く吸収しチャレンジすると同時に、周りに振り回されることの多い時期でした。
会社勤めをして初めて「ストレス」という言葉の本当の意味を知り(笑)、そしてあらためて学生の間は親だけでなく、たくさんの教師、指導者、仲間に守られていたんだなあと思ったことを今でもよく覚えています。
「風」と一緒にセーリングをしてきた君なら、君の艇を風まかせにさせるのではなく、風にうまく順応しながら風を使って走ること、レースで他の艇と競うとき、相手に翻弄されるのではなく、自分の信じた道を突き進むことが最良の方法ということを身をもって学んだかと思います。
私自身今年70歳になりますが、現役セーラーです。だから、場所や年齢が離れていても、君と同じ仲間だと思っています。
それから、7か月前にJSAF会長に就任しました。そしてJSAF会長として「生涯セーリングを日本に根付かせたい」という思いをもって、様々な取り組みをしていくことを誓っています。
君が社会に出てもセーリングを続けてほしい。
学校を卒業してもセーリングは卒業しないでほしい。
しかしもし君が一旦セーリングから離れても、仲間が君を待っていることを心のどこかで忘れないでいてほしい。

2022年3月
公益財団法人日本セーリング連盟
会長 馬場 益弘