6月30日(土)から7月1日(日)にかけて、今年度の第1回となるジュニアユースセーリング・シーマンシップアカデミー事業を愛知県半田市で開催しました。
■コミュニケーション
今回の対象は半田高校ヨット部の皆さん30人と指導者OBの皆さんたちです。
開催に際しては、顧問の山本先生、OBの永井コーチ、それに私の三者間で練習内容や指導体制等をすり合わせながら準備を進めましたが、生徒たちの現状、今後の目標や計画、加えて私が乗船するコーチボートの仕様や注意点に至るまで、必要な情報を詳細に提供していただきました。2日間にわたりよい風に恵まれたこともありますが、事前の密なコミュニケーションのおかげで、シーマンシップの啓発はもとより高校生たちにとっても充実した講習内容になったのではないかと思います。
■キープフラット
高校生たちにとっては水域予選を経てインターハイを目前にしたこの時期、これまでの練習で積み重ねた技術や知識を整理すること、課題を克服して不安をなくしていくことが大きなテーマとなります。
今回はレース全般における重要なポイントの確認をしながら、中でも最重要となる操船技術の向上に多くの時間を割きました。
フルセールの維持、ヘルムの操り方についてレクチャーを開始しました。上級生はもとより1、2年生も積極的にコミュニケーションをとることができる受講生たちです。あっという間に私からの情報を理解し、実践できるようになりました。
■チーム半田
講習期間を通して若手OBで大学院生の中村コーチをはじめとするサポートスタッフの働きは素晴らしく、海上で個別にレクチャーした内容の全体フィードバックや参考資料としての動画撮影、さらにフィッティングトラブルへの対応等、本当に助けられました。
ちなみにヨット経験のない山本先生には、海上のマークセッティングとレース運営を担当していただいたのですが、私がリクエストしたとおりのコースレイアウトを狂いなくあっという間にセットされました。数学がご専門ということが関係あるのか定かではありませんが、練習効率を上げていただいたことは間違いありません。
2日間という短期間を1人で講習する場合、言いっぱなし、やりっぱなしになりがちなところですが、物理的な不足はチーム半田のサポートによって補完されました。
■リアルシーマンシップ
事前の情報提供から始まり、生徒たちの高い学習能力、OBスタッフのホスピタリティなど感心することがたくさんあったのですが、山本先生から指導方針をお聞きして合点がいきました。「自主自律の精神のもと、自ら考え、責任をもって行動する。主体的な活動を大切にしています」と!
シーマンシップとは航海術に優れていることを意味しますが、アカデミーの狙いは正に半田高校ヨット部の指導方針そのものです。そんなこともあって私のコーチングにもスイッチが入り過ぎた感があり、まだ入部したての1年生やこれからヨットレースの楽しさを知るであろう2年生たちにとっては、逆にセーリングの謎を深めてしまったのでは、と少し反省もしました。
■半田市ヨットハウス
練習海面は対岸までが1km程度の水路の中にあり非常にコンパクトです。決して恵まれた練習海面ではありませんが、それを補って余りあるシーマンシップが存在する半田市ヨットハウス、ここから新しいスターが誕生する予感がします。
今シーズンにおける皆様のご活躍をお祈りすると同時に、ヨット部を卒業された後も今回サポートしていただいたOBの皆さんのように選手、スタッフ様々な形でセーリングに関わっていただくことを切に願いながら今回の半田アカデミーレポートを終了いたします。チーム半田の皆様、2日間本当にありがとうございました!(レポート/中村 公俊)