9月5日、「夢・未来プロジェクト」(主催/東京都教育委員会)が東十条小学校(東京都北区)で実施され、児童たちがセーリングを体験しました。講師は北京五輪 470 級7位入賞の松永鉄也選手でした。
「夢・未来プロジェクト」は東京都教育委員会が主催するもので、幼児・児童・生徒がオリンピアンやパラリンピアン等と直接交流することによりスポーツへの関心を高め、夢に向かって努力し、困難を克服する意欲を培い、平和な社会や共生社会に進んで貢献できるようにするという目的で実施されています。
ところで、多くのスポーツ競技があるなかで、なぜセーリング競技が今回の「夢・未来プロジェクト」に選ばれたのかというと、東十条小学校からセーリング等のマリンスポーツ選手の話を聞きたい、という希望があったためで、JSAFが窓口になり、松永鉄也選手に講師役をお願いすることになりました。
今回のプログラムは講演と実技指導の2つで構成されました。
■講演(対象:全校児童392人)
講演は、全校児童を対象に体育館で行われました。
初めに松永選手から児童に「セーリング(ヨット)を知っていますか、乗ったことがありますか」と質問したところ、15人前後の児童が手をあげ、予想外に多いこの数字に松永選手も驚いていました。
児童たちにセーリングのイメージを持ってもらうため、松永選手は映像を使って話を進めました。49er、ウインドサーフィンの迫力のある映像が流れたときには、体育館からは歓声が上がりました。その後、松永選手が「ヨットに乗ってみたいと思った人」と聞いたところ、8割前後の児童たちが手をあげてくれました。
松永選手の話が終わると、児童から「ヨットを続けて良かったことはありますか?」の質問がありました。松永選手が「世界中に友達ができる。海外の選手はみんな、陸の上ではとても優しい。でも海の上やレースでは、別人のような顔つきで戦っている」と答えると、児童からは「選手が陸の上と海の上で顔つきが違うと聞き、私も勉強や遊びにメリハリをつけよう思いました」と大いに関心を持ったようでした。
■実技指導(対象:5、6年生110人)
次に3艇のオプティミストディンギー(OP)を使って、小学校のプールで実技指導を行いました。
まず、松永選手が実際にOPに乗り込み操作方法を説明しました。その後、児童たちが2人1組でOPに乗りこみ、松永選手はプールに入り船の間近で指導を行いました。1組あたり2~3分という短い時間でしたが、初めてヨットに乗った児童たちは「楽しい、もっと乗りたい」と口々に言っていました。
少し時間があまってもう一回乗れることになると、児童たちからは歓声が上がりました。2回目になると少し慣れたのか一回転したり、一人で乗る児童も出て、全員が楽しんでいました。休憩時間には校長先生も乗艇され、児童たちから声援が送られていました。「貴重な体験ができてよかった」と校長先生もニコニコ顔でした。
実技指導が終わった後には体育館での講演の時よりも多くの質問があり、松永選手は1つ1つ丁寧に答えていました。最後には大勢の児童たちが松永選手を囲み、サインまで求められるほどになっていました。
■「夢・未来プロジェクト」を終えて
JSAFのスタッフとして「夢・未来プロジェクト」に携わり、セーリングの普及活動に効果があると感じました。今後もマリンスポーツ競技を知りたいと希望する学校があれば、積極的に協力しようと考えています。同時に、より多くの地域で開催できる環境を整え、全国各地で同じようなイベントを行い、将来のセーラーを少しでも増やせるように、その裏方として地道な活動を行う必要があると感じました。(西宮敬宏/JSAF事務局、写真/濱谷幸江)
夢・未来プロジェクト
https://www.o.p.edu.metro.tokyo.jp/sports-do/yume-mirai-project01