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第四話 大会3日め [ 12/Aug/2017 ]
ショートオフショア……の間にチーム紹介を

大会3日めは、初島、小網代、南西沖ブイと巡る約57マイルのショートオフショアレースです。 捨てレースにはできず得点は1.5倍と、4日間に渡るシリーズレースの中でかなり比重の重い一戦となります。

北東の風、約10ノット。
定刻の午前10時に小網代沖のスタートラインを飛び出したジャパンカップ・フリート11艇は、1.2マイル先のウエザーマークを回航し一路初島を目指します。

予報では風はさらに落ちるとのことで、この時間を利用して、今日は参加艇紹介を、あらためて以下に。 TCC順です。(8/21:一部加筆)

スランジバー(TCC:1.255 )

SLAINT MHATHと書いて〈スランジバ〉ーと読みます。
中島光司オーナーはXp38で「沖縄-東海レース2014」に参戦。 その後、突如2015年進水のKer-40+に。こちらは軽排水量のジェネカー仕様レーシングボート── いわゆるHP40で、Xp38での沖縄レースとは大きく異なる舞台です。
ヘルムは伊藤勇(45才)、タクティシャンに石橋顕(43才)。 デッキは高野佳雄(53才)が仕切り「ジャパンカップ2016(西宮)」に続いての参戦となる今回。 油壺月光グループの支援も受けての関東初遠征となります。

ブラック(TCC:1.254 )

こちらもやはりHP40に位置づけられるBOTIN40。2013年進水の元〈SWING〉ですが、樹神弘郎オーナーの〈ブラック〉としてのチーム結成は半年ほど前のこと。そこからはもう怒濤の勢いで、荒川海彦(38才)のヘルムにタクティシャンは北京五輪470代表の松永鉄也(38才)。その他、元ニッポンチャレンジ系のセーラーなど日本中から有力セーラーを集めた銀河系軍団は準備万端で、西宮からの遠征となります。

エスプリ(TCC:1.254 )

迎え撃つ地元シーボニア勢。河本二郎オーナーの〈エスプリ〉は2014年進水のCarkeek 40。進水直後の2014年(シーボニア大会)から4年連続のジャパンカップ参戦です。2014年から不動のヘルム、長橋誠も33才になりました。タクティシャンは早稲田大学ヨット部監督も務める関口功志(33才)。大会2日めまでフリートの先頭を突っ走る好調の〈ブラック〉に対し、唯一前を切ってマークを回ったのがこの〈エスプリ〉。その後大きな藻を引っかけて順位を落としますが……。
そして今日、ショートオフショアでも、トップでウエザーマークを回航していきました。

カラス(TCC:1.252)

ご存じ、斜森保雄オーナーの〈カラス〉は、今年からいよいよHP40フリートに加わりました。MILLS41の名の通り、全長は〈ブラック〉、〈エスプリ〉よりも大きく重量も重くなっています。〈スランジバー〉の諸元は〈カラス〉に近いと言えるかもしれません。
HP40はそれぞれの艇の違いも面白いところで、〈カラス〉も進水後バルブを小さくするなど、試行錯誤途上のようです。
不動のヘルムは石川淳一(61才)。タクティシャンの仲川登(59才)もすっかりチームに定着。完成された伝統芸能の域に達していたクルーワークは、新たなHP40の世界ではどうなるか。

タートル6(TCC:1.184)

IMS全盛時代のILC40レーサーとしてブルース・ファーが設計したカスタムボートで1995年進水。海外転戦の途上「ジャパンカップ97年(西宮)」にも出場している艇です。
増田順一オーナーの手に渡り〈タートル6〉となってからもリグを大きく代えるなど大事に乗られ船齢は22年。オーナー自ら舵を持ち、チーム最古参の竹内誠(69才)がコース引き、あるいはヘルムのピンチヒッターとして大活躍。スピネーカーポール仕様でジェネカー艇とどう戦うか。

がいあ (TCC:1.179)

日本人デザイナーによる36ftレーサーK-36 SAMURAIが「ジャパンカップ」参戦です。茂木慎一オーナー自ら舵を持ち、タクティシャンに本吉夏樹。大会2日めからはシドニー五輪470代表の浜崎栄一郎も加わりました。

スパンク(TCC:1.177)

「ジャパンカップ2014(三浦)」にはGP33で出場、4位となった〈スパンク〉。今回はK-36 SAMURAIで〈がいあ〉と同型ですが、TCCは僅かに違っています。ワンデザイン艇というわけではないので。
こちらも鈴木道彦オーナーのヘルムでタクティシャンは本田敏郎(52才)。〈がいあ〉と共にホームポートは葉山マリーナです。

パピヨン(TCC:1.177)

同じK-36 SAMURAIでも、こちら伏見徹オーナーの〈パピヨン〉は固定のバウスプリット仕様。つまり伸縮式ではありません。それでもTCCは同じ。タクティシャンに山田寛(46才)。メインセールトリマーは中村匠(37才)と脇を固め、こちらもオーナーヘルで……と昨日のレポートで書きましたが、第4レースは山田がヘルムを変わったそうです。昨日のレポートは誤記でした。訂正してお詫びします。

光風(TCC:1.088 )

永田守オーナーの〈光風〉が最初に「ジャパンカップ」を征したのが1999年(葉山)。その後艇を現在のFIRST40に代え高木克也にチーム作りのすべてを託した2014年(三浦大会)では3位に、2015年(蒲郡大会)では2位に入っています。
その後高木がオリンピックを目指すコーチ業に専念するためチームを抜け、代わりに昨年春から加わった加原和洋(36)ヘルムの元、若くフレッシュなチームに再構築されています。

サマーガール(TCC:1.061)

連覇を懸ける馬場益弘オーナーの〈サマーガール〉については、これまでにも散々いろいろなところで書いたので、あまり書くことはないです。これまで通り、船澤泰隆(43才)のヘルムに兵藤和行(52才)のタクティクス。そうそう、昨年から加わった若手の2人、松垣論(26)、山本慶裕(25)もすっかりチームに馴染んでいるもよう。
あまり勝ち続けると、ライターとしては書くことがなくなります。

propaganda(TCC:1.050)

〈propaganda〉といえば、ヨット強国ニュージーランドが威信を懸けてアドミラルズカップに送り出したワントナーで、80年代後半の名艇です。それを石渡一夫オーナーが艇名ごと買い取り日本に持ち帰り、IOR末期の日本ヨット界を多いに盛り上げました。
その後、ヨットレース活動を休止していた石渡オーナーが再びレースを再開。選んだ艇がこちらA-35。艇体の割りにメイン/ジブ両セールは小さく。伸縮式のバウポールから巨大なジェネカーを展開する強風仕様の艇です。確かに比較的風のあった第2レース第3レースでは2位-1位と好結果を残しています。
ベテラン袈裟丸剣(54才)のヘルムで、古参メンバーに加えてチームを新構築。昨年の「ミドル全日本(西宮)」では地元海面に明るい吉田工作(26才)をタクティシャンに起用し、優勝。今年も吉田のタクティクスで「ミドル全日本(蒲郡)」を連覇。そして「ジャパンカップ2017(三浦)」です。さあ、どうなるか?

長くなりましたが、こんな個性豊かな11艇はこの原稿を書いている時点でショートオフショアレースの真っ最中。
タイムリミットは午後11時。帰ってくるのは夜遅くになりそうです。続きは明日のレポートで。

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