RACE REPORT

Day12

2024.8.8

男女混合ディンギー種目470級、
岡田奎樹/吉岡美帆組が銀メダル獲得!

マルセイユ・2024年8月8日

レース12日目。男女混合ディンギー種目470級のメダルレースが行われ、岡田奎樹/吉岡美帆組が暫定3位から逆転で銀メダルを獲得しました。

昨日延期になった470級のメダルレース。暫定首位は24ポイントのオーストリア、2位は31ポイントのスペイン、岡田/吉岡組は35ポイントで暫定3位、4位は39ポイントのスウェーデンという状況ですが、メダルレースは得点が2倍になるため、上位4艇は誰にも金メダル獲得のチャンスがありました。

スタート5分前の合図の後、最初に仕掛けたのが暫定2位のスペインです。良いスタートを切らせないようにと、暫定1位のオーストリアを徹底的にマークします。2艇の攻防を尻目に、岡田/吉岡組はピンエンド(スタートラインの一番風下側)からフレッシュウインドを掴んでスタート。

オーストリアとスペインはレース海面の右側を、岡田/吉岡組は左海面を選択します。スウェーデンは最初、左を選択していましたが、早めにタック(方向転回)し、スペインやオーストリアと同じ右海面へと向かいました。ライバルたちが右海面を選択する中、岡田/吉岡組はそのまま左を伸ばして序盤で艇団のトップとなりました。

日本は上マークに向かう途中で暫定1位に躍り出ますが、レースはまだまだ序盤です。下マークを回ると他艇との位置関係から、日本とスウェーデンは右海面を、スペインとオーストリアは左海面を選択。オーストリアが徐々に追い上げをみせ、岡田/吉岡艇が先行するものの、総合得点ではオーストリアが逆転に成功します。

レースはそのまま終盤へ。スウェーデンが日本のすぐ後ろにピタリと付いて順位を暫定3位に上げる一方、スペインは大きく遅れメダル圏内から脱落します。このレース、地元フランスが意地を見せトップフィニッシュ。日本は着順3番、スウェーデンが4番、オーストリアが7番、スペインは9番でした。その結果、38ポイントのオーストリアが首位となり金メダルを獲得。日本は41ポイントで銀メダルを、スウェーデンは47ポイントで銅メダルを手にしました。

日本は2004年のアテネオリンピック男子470級、関一人/轟賢二郎の銅メダル以来20年ぶりとなるオリンピックで3個目のメダルを獲得しました。銀メダル獲得は1996年のアトランタオリンピック女子470級、重由美子/木下アリーシア組に次いで2個目です。

【選手コメント】

470級スキッパー・岡田奎樹選手
「大会初日は自分のコースを引いて成績が良く、2日目も強風でしたが自分のコースを引いて首位をキープしました。しかしそれ以降は順位を考えてしまい、自分のコースでレースをするということを考えながらも、ある程度(相手との)ポイントも意識するという考え方で、スタート後にファーストシフトをとったら、ポイントを考えて相手に合わせていくというやり方をやったんですが、それが大失敗しちゃって。
オリンピックの4日間通して、自分のレース(自分が良いと思ったコースを選択するレース)をしないと成績が出せないというのが分かったので、メダルレースは自分のしたいレースをする、風をちゃんと見極めてレースをするということにしました。
マークする相手とは違うコースを引くのがいいかどうかは、ミーティングの時点で僕はそういうプラン(自分のレースをする)で、吉岡さんは違うプランでしたが、チームにとって一番自信があるのは何かというところを判断してやりました。それで負けたんだったらそういうオリンピックで、自分の目(風を読む力)も本当は良くなかったのかもしれないという話になりますし、オリンピックで8レースしてきた中で、自分が選んだコースは確実に当たっているので、やっぱり自分を信じるべきだという話です。
序盤で左海面を選択したのは、今日は左から風が入って、それから20度ぐらい振れて、ある程度ここで固定するだろうと思いましが、風が入りかけの時に左に振ったということは、風は左から入ってくる確率が非常に高いので、その方向にブローが最初に入るのではないかと思いました。見た目にも風が強く見えましたから左を選びました。
オーストリアが途中10番で、自分たちが1位になったことは分かっていましたが、今のオーストリアだったら、そこから2つぐらい順位を上げる実力はあるだろうし、スペインのジョルディは9番になっていたので、マークするのはスペインではなくスウェーデンのアントンだと思いました。そうすれば、最低でもブロンズにできるなぁと思っていました。結果、シルバーを手にすることができました。
セーリング競技は選手生命が長いほうですが、でも4年に一度って、選手生命の長さから考えても、吉岡さんのように身長が高くて、気合いがある選手とはそう簡単には巡り会えないと思うし、一人乗りではなくペア競技なので、ペアとの相性なども含めればそうそうないことで、そのチャンスを逃さずメダルを獲ったといのは、すごいことなんじゃないかと思います。」

470級クルー・吉岡美帆選手
「この大会で絶対に結果を出したいと思っていて、全力を尽くして頑張りました。最初に狙っていた金は取れなかったですが、でも実力は十分に出せて、実力通りの成績は出せたと思います。
私がミーティングで出したプランは、銀を狙いにいって銅をはずすよりは、確実に3位までに入りたいと。銀を決して諦めたわけではありませんでしたが、どうしてもメダルほしかったので、私たちが先行していたらスウェーデンをおさえに行くみたいな、そういう案を出しました。
奎樹からすると、男子クルーから女子クルーになったことで、もっとアグレッシブにいきたいのに…というもどかしさがあったと思います。私は特別にヨットのセンスがあるわけではないと思うので、そんな私を引っ張って、信じ続けてくれて、ありがとうと言いたいです。東京大会後に(続けるか)悩んだ時期もありましたが、本当に続けてきて良かったなと思います。」

JSAFオリンピック強化委員会・宮本貴文委員長コメント
「まずは銀メダルを獲得された混合ディンギー種目の岡田奎樹、吉岡美帆ペアとコーチの土居一斗さん、また選手所属企業であるトヨタ自動車東日本株式会社、株式会社ベネッセホールディングスの皆様にお祝いと御礼を申し上げます。また、陰ながらサポートを頂いたスタッフの皆様を始め、強化に携わって頂いた全ての皆様に御礼を申し上げます。TEAM JAPAN一丸となって獲得した銀メダルでした。
目標としていた金メダルにはわずかに届きませんでしたが、20年振りにメダルを獲得できたことに大きな安堵と嬉しさを感じておりますと共に、オリンピック強化委員会の使命として、今回の結果を一過性のものとせず、次回、次々回大会での更なる飛躍に繋げていくことをテーマとして、今後益々精進をして参ります。
改めまして皆様のご支援・ご声援に御礼を申し上げます。引続きよろしくお願い致します。」