第4回ジュニアユースセーリング・シーマンシップアカデミー in 境港
- 2026.08.03
- #育成委員会
開催場所:鳥取県境港市 境港公共マリーナ
開催日:2026年7月27日〜28日(2日間)
講師(担当種目):吉田雄悟(420)・小泉維吹(ILCA)・松尾虎太郎(420)
参加選手:36名(岡山、広島、山口、島根、鳥取)
420:10艇 ILCA:6艇
【今合宿の目標】
ヘルムを感じて艇を速く走らせること
【はじめに】
合宿を進めるにあたり、吉田コーチから3つのことが徹底されました。
①問題はなるべく海の上で解決すること →すぐに試すことができるから
②積極的に選手から質問をしてほしい →何が課題なのかコーチも分かりやすい
③個別の質問も全体ミーティングの場で共有すること
→自分以外の誰かの課題解決につながるかもしれないから
また、暑熱に対する安全対策として、適切なタイミングでの水分補給とスケジュールの共有を徹底しました。



【海上練習】
<7月27日午前>
風向:北東(沖からの比較的安定した風) 風速:2〜3m/s
練習内容:レース練習
今回の合宿は参加艇数も多かったので、コーチ3人が420のABクラスとILCAクラスの3グループを分担して練習内容を計画しました。
また、グループ分けや、今のレベルなどを測るためにも、初日の午前中は出艇後すぐにレース練習を実施しました。
インターハイで優勝を目指すレベルから、出場を目指すレベルまで様々なレベルがいるなかで、共通して課題だと感じたのは、クローズホールドもランニングも微風時のパワーの使い方です。
まず、クローズホールドでは、艇がヒールしようとするプレッシャーや、今あるパワーが抜けそうになっている状態をペア2人で共有して動くことができていませんでした。
この部分に関しては、すごく感覚的なところもあるので、周りから見ているコーチが良い状態と悪い状態を伝えていくことで、乗っている選手たちも何が正解なのか少しずつ理解し、やがて自分たちだけでも判断できるようになっていきます。ランニング時は、スピンの適切なパワーが分からず、下らせすぎてパワーがなくなり潰してしまう艇がほとんどでした。
まずは、しっかりスピンを張ることができる角度で走り、その上で落としていくことを伝えました。
<7月27日午後>
風向:北東(沖からの比較的安定した風) 風速:3〜5m/s
練習内容:グループ別練習
初日の午後からは午前中の成績を元に、グループ分けをしてそれぞれのグループにあった練習を行いました。
私の担当した420 Bグループ(午前の成績が真中以降だったグループ)は、まずは艇をしっかりコントロールできるようになることを目標に、特に各マークでロスなくヘルム(スピード)を意識しながら回航することに注力しました。
限られた時間の中で、選手たちは海上でも積極的に質問をしてくれて、初日からコーチングへの手ごたえを感じることができました。
<7月28日午前>
風向:西(陸からのシフティーな風) 風速:7〜8m/s
練習内容:マークラウンディング&レース練習
前日から打って変わって陸からの強風となった2日目は、安全面などを考慮してグループ分けをせずに練習エリアも一カ所に限定して全艇がマークラウンディング中心の練習を行いました。

2日目のテーマ:セールを必要以上に出しすぎないこと
強風時のボートバランスのコントロールをセールトリムのみで行うのではなく、ステアリングの使い方もアドバイスし、時には乗り替わって見せるコーチングも取り入れながら、セーリングイメージの共有化を図りました。
瀬戸内から参加した高校生たちは、なかなか経験できない強風や大人数での練習ということもあり、休憩も必要最低限に、体力の限界を感じながらも自ら追い込んで練習に取り組んでいました。
その姿に自分の高校時代を思い出しながら基礎的な反復練習の重要性を再認識しました。
今までできなかったことが、意識することできるようになり、回を重ねるごとに無意識に再現できるようになっていく、午前中のたった2時間30分程度の間に帆走レベルは明らかにステップアップしました。

<7月28日午後>
風向:西(陸からのシフティーな風) 風速:7~8m/s
練習内容:レース練習
残された練習時間も少ない中、参加者たちのモチベーションの高さにも後押しされて、とにかく数をこなす中で指導できればと思い、最終艇がフィニッシュしたらすぐに次のレースシークエンスという具合に、最後までみっちり練習に取り組みました。
その中でも嬉しかったのが、初日午前中のレースでは上位グループに混じってレースできなかったチームが、コーチング後に一目みて分かるほどのボートバランスによってレースでも上位に食い込めるようになったことです。
この2日間が意味のある練習になって良かったと心から思いました。

【総括】
この2日間、選手が成長しただけでなく、私自身が選手を指導することの面白さを学びました。
「どうやったら選手たちに分かりやすく伝わるのか」「どこを改善したら良い状態になるのか」私なりに必死に考えて指導した2日間。感覚的な部分が多いセーリングという種目だからこそ、自分の持っている感覚をいかに言語化して伝えられるか。それを考える過程で自分自身も改めて艇を速く走らせるというヨットの根本的な部分を考え直すことができました。
参加者たちはというと、とにかくヨットが上手になりたいという気持ちを強く感じました。
最後のミーティングでも前のめりに質問してくれる選手が多く、大きく首を縦に振りながら話を聞いてくれるその姿には明るい未来しか見えません。私たちが教えた分だけ上達していくのは、そういった取り組み姿勢があるからだと納得できます。今後の成長が本当に楽しみです。
最後に、私自身が常に自分に言い聞かせてきたのが「速い選手よりも、強い選手に」という言葉です。
違いはそこまで大きくないかもしれませんが、「ただ速く走る」だけではなく、「人としての振る舞い」や、「ヨットに取り組む姿勢」など、どんな時でも誰に見られても恥ずかしくない選手が強い選手だと思っていました。
この合宿に参加したみなさんも、選手としてだけでなく、人として1人前になり活躍してほしいと願います。

(レポート:アカデミーコーチ 松尾虎太郎)




