□第6回相模湾ヨットフェスティバル レースレポート

第6回相模湾ヨットフェスティバル レースレポート

(記)レース委員長 林 伸樹



   相模湾海域では夏の恒例行事となった相模湾ヨットフェスティバルは、第6回目のレースを8月31日に実施しました。今回はIMSクラス、ORCクラブクラス、オープンクラスに併せて72艇の参加申込みがありました。多くの参加艇に入賞のチャンスが広がるようにしてレースを楽しんでもらおう、と実行委員会立ち上げの時より考えていたこともあり、最終的にはIMSクラスが1クラス、ORCクラブクラスでは6クラス、オープンクラスが2クラスの構成になりました。

   週初めの週間予報では31日の天気はあまりよくない、との情報で天候を心配していたが、その心配も杞憂と思わせるほど穏やかな朝を迎えました。気付いている方もいると思いますが、昨年11月の相模湾ヨットウィーク、今年4月の初島卯月レースと小生がレース委員長を務めたレースでは強風に見舞われることが連続しており、「三度目の正直」で快適なレース日和を迎えることができたと心の中で胸を撫で下ろしていました。

   本部艇出航の頃には風が強くなり、城ヶ島西側にマークを設置時点で、約225°方向から12kt強の風とともに大きな波が立つ状況になりました。小型の運営艇2艇に対して、航行の安全に影響がある場合にはすぐ帰港するよう通達し、本部船にはY旗(ライフジャケットを着用せよ)を掲揚しました。各クラスともスタートラインへのアプローチは慎重であったため、リコールは一切なく予定通りの時刻にスタートができました。全クラススタート後の計測では、平均15kt、ピーク18kt強と風速があがるとともに波高も更に高くなり、レース艇が大変な思いをしながら、恐らく本部船よりも強い風の中でセーリングしていることが容易に想像できました。案の定、陸上レース本部にはいくつかの艇からレース棄権の連絡が入り、最終的には、DNC艇とDNF艇が合わせて12艇となりました。

   一方、本部船では程度の差があるものの、船酔いになったスタッフが半数に至り、レース艇とは異なる苦労をする状況にありました。フィニッシュライン設定後、城ヶ島西側にスピンネーカーを含むいくつかのセールを確認し、まもなく、IMSクラスのビッグアップルがファーストフィニッシュ。本部船が波の大きく立つ場所に位置し、追い風でのフィニッシュであるため、最後までプレーニングさせた船が先行艇を抜く、という気の抜けない状況に、本部船側でもつい見とれてしまうような熱い瞬間が幾つもありました。その中でもラッキーレディーV(ORCクラブクラス)とゼネット(オープンクラス)が競り合いながらそれぞれのクラスのファーストホームをもぎ取っていく様は見事でした。

   今回のレースでは、安全を意識しながら厳しい自然に挑戦しつつ競い合うという、忘れかけていた外洋ヨットレースの醍醐味の一面を思い出させてくれたと思っています。残念ながらレース中にトラブルに見舞われた艇もありましたが、幸いにしてそれ以上の重大な事態が起こらなかったことは、実行委員会、レース委員会一同安心するとともに、参加者皆様のシーマンシップを垣間見ることができました。また、レースを完走したことに対する満足感がレース後のパーティーを盛り上がりにつながったものと信じています。

   「今年の相模湾ヨットフェスティバルは楽しかった、また来年も参加したい」という声が聞こえてくることを願いつつ、レース委員長のレース報告とさせていただきます。なお、冒頭の「三度目の正直」が、「二度あることは三度ある」の間違えであったことに気付いたのは、本部船のポールにしがみついてフィニッシュ艇を迎えている時のことでした。皆さん、お疲れ様でした。


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