□2002関東選手権報告

2002関東選手権(兼フリート対抗レース)
レースレポート


                                レース委員長 浜崎濠次郎


旧外洋帆走協会と旧ヨット協会が統合して(財)日本セーリング連盟となって以来、初めて外洋4クラブ(東京湾・三崎・三浦・湘南)と神奈川県セーリング連盟が共同でレース運営を行った記念すべき大会となった。今年4月から9月末まで合同レース委員会を毎月開き準備と調整を行い10月3日のスキッパーズミーティングを経て10月5日の第一レースを迎えることとなった。

外山実行委員長を中心に外洋三崎がゼネラルレースマネージメントを行い、県連が海上運営を全面的に担当する関係で9月上旬、レース海面決定のため調査を実施し定置網の位置と水深の関係から、レース海面を長者ガ崎沖の秋谷寄りに中心を決め、どの風向でも上・下1.5NMの距離がとれ、岸側水深30m・沖側100mのソーセージコースを海図に落とし込み機材を含め準備が整った。

10月5日(土)インショア第1レース(風向50度・風速3〜4m・距離0.8NM)微風の中IMS8艇、ORC9艇の順でオールクリアのスタートを切った。チョッピーな波はあるものの海面自体は走りやすいと感じたが、上マーク付近のアプローチで風のふれを上手く掴んだ艇が上位で回航した。タイムリミットと次のディスタンスのスタート時刻を視野に入れ、風速が3m前後まで落ち、更に弱まる傾向であったため、第2下マークでコース短縮を行い弱風の中全艇がフィニッシュした。

10月5日(土)ディスタンス80NM(爪木崎北東マリンロボ回航・網代崎浮標)KSC参加艇を含め全24艇が一斉スタートとなった為、約200mのラインを想定したが無風状態になり13:55AP旗を掲揚し、南風が来るのを待ち予め本部船を固定、運良く220度(爪木崎方向)から2m程度の風が来たために予定より15分遅れでオーバーナイトコースに向かってスタートした。途中吹いたり吹かなかったりで面白いレース展開だったとのことで、全艇6日未明に無事フィニッシュした。

1週間を空けて10月12日(土)インショア第2レースが始まった、小笠原付近の台風の影響でうねりと少し強めの北風が吹き、40度1.2NM、6mから7mの風速のなか10時30分にIMS、35分にORCが長めの下有利ラインでスタートした。最初のクローズでは、ブローは左から入り左海面に向かった艇団が比較的有利であったが風全体は東寄りにシフトし始めていた。フリーコースは各艇左右に別れ、クローズ同様左右のコース取りとジャイビングポイントの重要性が各艇に要求される展開となった。風速は7m前後で安定し、右に変化ぎみの風向の中、右海面で北風特有のシフティーなブローを掴んだ艇が上位でフィニッシュした。

第3レースは、上マーク55度,距離1.2NM、風速5m〜6mでスタートラインを多少縮め上有利気味のスタートラインでスタート、東寄りにシフトし風速が弱まることを想定してコース短縮を考えたが、安定した風速の中フルコースを走ることが出来、各艇クルーは連続2レースで疲労気味か?

10月13日(日)インショア最終レースは、風向10度、風速8m〜10m、距離1.7NM,大きなうねりのため10時30分のスタートが本部船のアンカーが引け、5分遅れのスタートとなった。強風下で第1マーク回航までに20分近くかかったためにフルコースが危ぶまれたが、風向が20度に変化したためにマーク移動とともに距離も1.0NMに縮めて、2時間フルに使って全てのレースが終了した。

ヨットレースの艇は、よく企業(会社)に例えられることがあり、艇種によって個人企業から大企業があり、大きい企業ほどチームワークの構築が複雑にまた困難になりがちです。 今回の関東選手権は、大企業が佐島沖に集まってさまざまな気象環境(社会環境)でレース展開(経営展開)をしたわけで、各艇(会社)の特徴がよく出ていたと感じました。
スタートでは、セオリーどおりを実践していた艇とレース毎にばらばらでスタートに対するポリシーが判らない艇が見られた。オフショアではスタートにおける多少の差はリカバー出来るが、インショアレースではベストポジション、ジャストタイム、トップスピードのスタート基本原則を心がけた艇が平均して上位を走っていた。
下マーク回航でのスピンダウンのタイミング、メインとジブの引き込み、マークの回航を3−2−1で廻るなど基本的なことをスムーズに行っている艇と、何時もスピンを降ろせないままマークを通り過ぎてしまう等の艇とのレベルの差は何なのか、やはりセーリングの基本を着実に練習を重ねたチームと練習不足とチームワークの差が順位に表れたと思われます。
指揮命令系統が確立し、且つポリシーと戦略を理解しながら各担当が行動する企業が、業績も伸び実績を積んでいくので、ヨットも1人乗りから10人、15人と大きくなればなるほど、チームポリシーを理解してクルー間の意思疎通を図るためのトレーニングが勝つための基本ではないかとこのレースを通じて感じました。




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