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2009年度ユースナショナル候補選手強化合宿報告



Index 2009年度ユースナショナル候補選手強化合宿報告

2009年度ユースナショナルチーム候補選手強化合宿を昨年末12月23日〜28日の6日間、和歌山NTC(セーリング強化別強化拠点)で開催した。
2008年に引き続いて、ジュニア/ユース選手が冬休み期間の恒例行事となってきた。
今現在、(パタヤ)タイで開催されている2010年ユースオリンピックアジア枠獲得予選に参加するテクノ293(ウインドサーフィン)の選手を含め、2010年ISAFユースワールド、各艇種の国際レースの国内代表を目指す約50名の選手たちが、北は北海道から南は九州の全国から集結し行なわれた。

コーチ陣もオリンピック特別委員会のNTコーチを含め、北京五輪までNT選手として活躍した若手コーチ陣(中村 健次、中村 健一、見城 元一、萩原 正大、高橋 航、
栗田 直美、重 由美子、中野 佐多子)を中心に、今回初めての試みとして高体連指導者および水域指導者に合宿参加の呼びかけを行い6名の指導者の参加を受け、次世代選手の水域育成の重要性を理解してもらう主旨から、オリ特、競技力向上委員会のコーチ陣とともに海上指導の実践を行なった。

海上練習以外では、夜のミーティングで下記講習会が組まれ技術以外でこの年代で学ぶ
幅広い講習が組まれ、昼間の海上練習の疲れもあったと思うが、眠い目をこすりながら真剣に聴講、ノートにメモする選手が多く見られた。
<講習内容>講師(敬省略)
1.11月23日 <トレーニングについて> 
※JSAF医事科学委員会トレーナー 江口 典秀
セーリングに必要な体力トレーニング方法、トレーニングの必要性をユース選手にわかりやすく説明。翌朝に、江口トレーナーによる出艇前体操(レース前のセーリングのために考えられたウォーミングアップ体操)を実践。今後も、ユース選手が実際の現場で継続することを望みます。
また、練習後のクールダウンの必要性、次の日に疲れを残さないために練習後最低30分は、会話する程度での強度のスピードでランニング(または水泳、自転車)を実践。
参加選手は早速に次の日から実施し、練習の疲れがクールダウンにより取れることを実感していた。
 しかし期間中行われた体力測定では、殆どの選手が陸上トレーニングを行っておらず、選手の体力不足が結果として表れ、トレーニングの必要性を実感している選手が少なくことがより浮き彫りとなった。
ユース海外遠征報告書でも、長期間のレース、強風での長いコースを行なうことで体力面、精神面でも脱落していくという課題が残っていることを含め、地域での練習環境の中でも体力向上のトレーニングを指導者も含め必要性を認識することが重要と考える。

2.24日 <競技に取り組む姿勢、モチベーションアップ> 
※JOCキャリアアカデミー相馬 浩隆
モチベーションアップ講習では、自分の競技に取り組む姿勢を見つめなおす機会を持つ内容で、質疑応答形式で自分の気持ちを振り返り整理する機会を持たせ、オリンピックメダリストのユース時代の経験や動機をビデオで見て、それに対し一番感じたことを発表してもらう取り組みも行なった。
選手が今の自分と比較し、「今何をするべきか?考えるべきか?」等、今後の取り組みに
役立つことを期待したい。

3.25日 <アンチドーピングについて>JADA委員
 世界のスポーツ界で取り組まれているドービング現状と、個人でどの様にアンチドーピングを考えるか等、ユース期に必要な知識を講習
4.26日 スポーツ選手の栄養と食事について 管理栄養士 小澤 礼子
栄養講習では、バランスのとれた栄養摂取の必要性とその取り方をユース選手にわかりやすいように説明。栄養に関するアンケート調査も行われ、毎年行われている栄養の講義により少しづつ選手にも、栄養の必要性が浸透しつつあるように感じる。
しかし合宿期間中にもコンビニでジャンクフードを購入している選手も多く、またお菓子が散乱していたり、実際に日々の生活で食事を考えるようになれるには時間が必要。
選手自身が、スポーツ選手として体力向上に向け真剣に取り組み、意識付けを行っていくことが今後の課題です。
また、体調管理の観点から、宿舎がホテル(個室形式)のため、指導者の目が行き届かず生活態度、ユース世代の体調管理にも課題が残った。

5.27日 ルール講習 JSAFルール委員長 増田 開
クイズ形式で新ルールの解釈を理解する手法で行われ、改めてルールの理解を促す内容であった。

海上練習では、担当クラス(ボード、シングルハンド、ダブルハンド)に別れ、陸上シュミレーション、チューニング方法、動作を習得してから海上で反復練習を行なった。
全体に風速は、微風から順風、最終日の強風と変化し参加選手にとっては、全ての風速で課題となる部分をコーチにアドバイスを受け、日に日にレベルがアップしていく様子が伺えた。
また選手は、毎日の振り返りシートで目標を設定しその日の反省、その結果をコーチにコメントしてもらい、次の日の練習に活かしていく新しい取り組みも行ない選手も、毎朝、コーチから渡してもらうコメントを食い入るように見つめ、練習に活かしていた。
今回は、海上練習だけでなく練習目標を設定し、そのための課題を自ら考え実行し、その結果を振り返り、次の目標を立てて行くという行程は、練習の密度を高めていくだけでなく選手個人が、自ら継続していくことが必要です。

以前までは、全体ミーティング、個別質疑応答で終了した強化合宿が、振り返りを実施することで記録に残るシートとして個々に渡され各水域の練習の中に、活かされることが大きいと考えます。
また420級(2人乗り)では、毎日の練習(帆走技術)を他担当コーチと映像に残し、最終日にチームごとにDVDに編集し水域に帰っても参考にできる教材として配布した。
本年、JOC補助事業で海外コーチ研修(英国)をする中村健一コーチが、映像を整理し夜のミーティングでもわかり易く熱心に指導を行なってくれたことが、印象的であった。

今回参加した選手たちが本当にレベルアップしているかは、もう少し先まで見守り、各水域での指導者にある部分は託さなければならない。
今回指導に当たったJSAFコーチ陣も「コーチングとは何か」をより深く検証し、選手以上に「指導力、質の向上」のための努力を続けなければならないと思う。
今回の新しい取り組みであった水域指導者の協力を含め今後、水域指導者とのコミニュケーションを持ち、協力してジュニア/ユースの普及・強化していきたいと考えています。
日本のジュニア・ユースセーラーが世界の舞台で活躍し、夢を育み、セーリングを愛する世界を築き、そのことにより人として成長していく姿を創り上げるため、是非、現場で実際に苦労を重ねながらジュニア・ユースの選手を指導いただけることを願っています。 最後に本合宿にご協力いただいた皆様方に、お礼を申し上げる次第です。

<報告>
JOC専任ディレクターコーチ
ジュニア担当 重 由美子

                         競技力向上委員会委員長
箱守 康之 

Photo:箱守 康之
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陸上でセッチング、チューニングの説明を聞くレーザーラジアルグループの選手たち
Photo:箱守 康之
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陸上でセッチング、チューニングの説明を聞く420グループの選手たち
Photo:箱守 康之
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体力トレーニング講習では、バランスボールを使用し体幹強化を説明する江口ト レーナー
Photo:箱守 康之
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講習後には各クラス別のミーティングを実施し、その日の練習を映像やホワイトボードで熱心に行われた(420級)
Photo:箱守 康之
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講習後には各クラス別のミーティングを実施し、その日の練習を映像やホワイトボードで熱心に行われた(レーザーラジアル級)
Photo:箱守 康之
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講習後には各クラス別のミーティングを実施し、その日の練習を映像やホワイトボードで熱心に行われた(ボードセーリング)
Photo:箱守 康之
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合宿中で実施された体力測定では、ユース選手の体力不足が課題となる
Photo:箱守 康之
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合宿中で実施された体力測定では、ユース選手の体力不足が課題となる
Photo:箱守 康之
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今回初めて実施した個別目標シートを記載する参加選手たちこのシートは、毎日記載し担当コーチがチェック、コメントを記載する


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