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レーザー4.7ユース世界選手権

原 貴夫氏のレポートです

関連サイト:
大会公式サイト
http://www.laser47.org/site/

Index レーザー4.7ユース世界選手権 のお知らせ
2009年7月24日〜31日
ブラジル・ブジオス
レース開始日7月26日〜
参加資格 U18〜U12
エントリー 27カ国 148艇
大会公式サイト http://www.laser47.org/site/
日本代表チーム
 (男子)多田 真帆 17歳 八千代松蔭高等学校(千葉)
     脇  貞徳 14歳 清風中学校(大阪)
     北村 勇一朗13歳  浜松市立三方原中学校(静岡)
   (女子) 若林 友世 15歳 藤嶺学園鵠沼高等学校(神奈川)
     村山 仁美 14歳 矢向中学校(神奈川)
帯同コーチ 原 貴夫  

国内ではレーザーラジアルワールドが唐津にて行われようとするとき、地球の裏側ブラジル、リオデジャネイロに程近いブジオスでレーザー4.7ユースワールドが明日7月26日から始まります。この大会はつい先日行われたユースワールドと同じ海面でその際使われたチャーターボートを活用してのレースになります。日本から男子3名女子2名が参加します。

レーザー4.7はラジアルクラスよりセイル面積の小さなクラスでありながら同世代としては比較的大柄な選手が集まっているなと言う印象がありました。OP級からのステップアップとしてというよりかなりレーザークラスに慣れ親しんだような選手が洋上でも多数みられました。

今日はプラクティスレースが1Rあり夜はオープニングセレモニーが華々しく行われました。これまで移動のスケジュールが大変であった上、会場への移動中事故によるひどい渋滞に巻きこまれ、かなり時間をとられてしまいました。計測等にもかなりの時間を要し、強行日程ながら選手は元気に明日からのレースに挑みます。6日間のレースですが皆様の応援をよろしくお願いいたします。

Photo:原 貴夫
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出艇前の日本選手
Photo:原 貴夫
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風待ち中リラックスする若林選手
Photo:原 貴夫
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風待する本部船
Photo:原 貴夫
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曳航して帰る日本選手


Index レーザー4.7ユース世界選手権 第1日目

これまで現地に入ってから小雨の降る日がほとんどで快晴がなかったのですが、今日は朝から晴れ渡り本来のブジオスの気候に戻ったようです。男子は2グループ女子は1グループで3日間予選が行われレイデイなしで後半3日が決勝になっています。本日12時より予定されていたレースは、男子の1組がスタートするも2組が準備信号のころにはかなり弱くなりスタート延期そして1組も1上にいく前に中止になりました。それから風は気まぐれに風向を変え、湾内を本部船が上に下に移動するも風速は上がりきれずに出艇から4時間後に本日のレースは延期となりました。



Index レーザー4.7ユース世界選手権 第2日目
Photo:原 貴夫
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今日も風のない待ちの本部船
 大会2日目。朝から風がなく、陸上待機となりました。レース予定時刻を45分過ぎたところで出艇許可の合図となり洋上へ出ましたが、風向が一向に定まらずコース設定をやり直すことを繰り返しました。昨日と似たような天候から今日もレースは難しいのではといった雰囲気が漂う中、3mの風が吹き始め、ようやく男子1組が15時30分にスタート、その後男子2組、女子と10分遅れずつで第1レースを行いました。

ほとんどの日本人選手は良いスタートかまずまずのスタートを切って上マークへ向かいました。フレッシュウィンドさえあればレースの展開も楽にできるという実感を持ったようです。その後は湾内をメインで流れる潮と反転してくる潮で上マークと下マークでは強さ方向が異なりコース選択はもう少し奥へ行けばよかったなどの反省が各自にありました。おおよその傾向は掴めてきたので明日はまたこれを活かしてもらいたいと思います。

 この大会は13歳から17歳まで男女別で表彰されます。そういった意味では年長者は
技術的にも経験的にも優れているのは良く見て取れました。今回の日本チームは13歳1名、14歳2名、15歳、17歳となっており着順とは別に良い内容が求められています。

6日間の大会ですが最後の2日以外は同様な不安定な微風が予想され、明日からはスケジュールが1日2レースから3レースに変更されました。1上をシングルや10番代前半で回ることができる仲間の活躍に触発され明日のレースではさらに伸び伸びと柔軟なレースができるように期待する次第です。

 不安定な中の1レースのみで全てを語れませんが、上位にはヨット大国の常連のほか
近年活躍の目覚しいクロアチアやトルコ、エクアドル ペルーなどが進出していました。
前出の大柄な選手も多いので吹いてくるとまた違った様相を呈すると思います。

【成 績】

北村 勇一郎   1R 27位      53/104艇中
多田 真帆      34       67/104      
脇  貞徳       37            73/104
村山 仁美        16            16/ 39
若林 友世       17            17/ 39
 
男子は2グループのため得点2倍、女子は1グループになっています。
4レースからカットが入ります。
Photo:原 貴夫
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男子スロベニア2艇がトップでリードする
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失敗スタートから追い上げる多田選手
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フィニッシュ間際の北村選手
Photo:原 貴夫
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この小さな半島を飛び越えて海風が入ってきます


Index レーザー4.7ユース世界選手権 第3日目

 相変らずの軽風ながら今日はいつもより肌寒く風向も安定し始め、定刻の12時よりレースが始められました。こちらは亜熱帯とはいえ冬シーズンのため日没が17時半ごろになり、18時前には真っ暗になります。そのため3グループが次々スタートをするトラペゾイドコースでは順調に運営できないと3R実施は難しい状況の中でしたが、風速3~4mの中で3Rが行われました。

今日で予選が終わる男子にとって正念場の日となりました。

1組の多田、脇両選手はスタートがスムーズに行かず苦しい展開を余儀なくされました。2組の北村選手は混んでいない所から周りの押し上げの状況をみて早くメインシートを絞り良いスタートを数回決めました。その後もレースの流れにうまく乗り今日一日大崩れのない安定した成績をおさめました。1カットの入った時点でゴールドフリートが確定したかに思われましたが、ちょうど当落線上に同点が数艇いるため、自分の前で線が引かれるか、後かというきわどい結果になりました。ゴールドフリートに入ればその時点で世代別男子1位が決まります。朝の掲示板が気になるところです。
女子は各選手がラインの押し上げ具合を読み積極果敢なスタートを決め、第2Rで若林選手がトップフィニッシュ、第4Rで村山選手が3位と好成績をおさめました。WEBではまだ修正されていませんが、総合若林5位,村山6位と健闘しています。

明日までは軽風でその後順風のレースが予想されます。明日も順位を上げられるよう積極的なレースを期待しています。12時から17時間半の間に潮の転流があり、周りの地形とそれを上手に作戦に組み込んだものが上位に入ったように思えました。男子はエクアドル、クロアチアが女子はスロベニア、トルコがリードしています。

【成 績】


男子  北村  (27)-21-24-19  55位/109艇中        脇 37-(47)-38-26 79/109     多田 34-42-38-(46) 89/109

女子  若林 15-1-(29)-8 5位/39艇中     村山 14-8- (24)-3 6/39
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3位でフィニッシュへ向かう村山選手
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トップフィニッシュを決めた若林選手
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十分なスペースを作り加速する北村選手
Photo:原 貴夫
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女子のスタート前風景


Index レーザー4.7ユース世界選手権 第4日目

日本女子、ワンツーを決めて上位に進出!

 夜の間に前線が通過し、朝ヨットクラブに行く時間はかなり強い風が吹いていましたが、出艇する頃には弱くなり、スタート予定の12時には風速3mに落ち着きました。

今日から男子は決勝になり、北村選手はゴールドフリート、脇、多田選手がシルバーフリートの中でのレースになります。女子はそのまま単独フリートで最後まで戦います。

第1R各組がスタートした後徐々に風は弱まり始め、各グループが最初の下マークに来るころには45分前後となり風速はかろうじて2mを維持していました。帆走指示書では2.5m以下になるか大きな風向の変化があればレースは中止する旨があり、ジュリーも風速計をしきりに取り出して確認しています。この中、女子フリートでは日本人2人がトップ1,2位を走っており何とか成立して欲しいと願っていました。結局、弱いながらも安定していたため90分以上かかったもののレースを走り切り、若林、村山選手のワンツーフィニッシュとなりました。

男子ゴールドフリートの北村選手も全ての選手が自分より上位ながら昨日同様、安定したスタートを決めフリートの中盤で十分戦えています。1R目に大変時間がかかったので、次のレースは距離を短めにして行われました。シルバーフリートの選手もスタートに関して作戦を考え直し、次のレースでは全員良いスタートを決めました。その結果女子は若林選手が連続トップ、村山選手が7位、男子北村選手も年長者に混ざり途中15番ぐらいを走っていました。マーク回航、最後の短い上りレグなので順位を少し落としましたが、良い走りをしていました。またシルバーフリートの脇選手も5位とようやく結果が出てくるようになりました。

 選手はこちらに来て朝、ウォーキングとアップのエクササイズを雨が降っても続けており、夕方は真っ暗になっていない限りジョグ、柔軟をこなしており、今のところ時差ぼけの回復も早く体調は良いようです。天気は気まぐれながら残すところ2日、より多くの経験を積んでもらいたいと思います。

【成 績】


北村 ゴ-ルドフリ-ト 40位/55  (27)-21-24-19-27-21  脇 シルバ-フリ-ト 18位     37-(47)-38-27-30-5

多田 シルバ-フリ-ト 42位     34-42-39-47-33-(49) 若林        3位 /39   15-1-(22)-8-1-1 村山       4位     14-9-(24)-3-2-7
Photo:原 貴夫
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1−2 位で下マーク回航する日本人女子選手
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スタートで頭を出す北村選手右から4番目
Photo:原 貴夫
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合計3回目のトップフィニッシュの若林選手


Index レーザー4.7ユース世界選手権 第5日目

女子・若林、村山両選手好調を維持して2位、3位に進出!

レガッタ終盤は風が吹いてくるという予報もずれ込み今日も出艇前はほぼ無風でした。定刻30分前くらいから風が入り始めるとともに全艇一団となって洋上へ出て行きました。しかし、レースをするには風向、風速ともに不安定で、1時間待った後にショートレグに設定して男子2組がスタートしました。しかし女子がスタートするころにはさらに弱まり、延期となりました。レースを続けていた男子2グループがそれぞれ下マークに向かうころには海面全体が弱くなり全組が中止になりました。このレースで日本人は上位で走っていただけに残念です。

その後沖へ海面を移動して吹き出しを待って3m前後の風の中、ようやく1Rができました。このレースでは強い向かい潮を受けるため陸に寄せながらも反対からブローの吹き出しが来た場合はそちらに寄せなければならず、時に有利な方向が読みにくい難しいレースとなりました。男子は各組とも寄せなければならないサイドを読み誤り、後手を踏むレースとなってしまいました。女子は先行する男子の引くコースから良いサイドを選択し、レグ毎に順位をあげ、若林選手が2位、村山選手が3位と昨日に引き続き好成績を収めました。彼女たちはフリートの中で軽い体重の部類に入りますがもちろん他にも軽い選手はたくさんいます。またコースの関係上男子のフリートとマーク回航で重なり不利益を被る可能性が多分にある中、賢くブランケットを避け、着実にコースを選択しています。OP級での実績のある若林選手は堂々としたレース運びをしていますし、村山選手はフリートの中で積極的にチャレンジし、成功や失敗から多くのことを吸収している一人と言えます。一月前の合宿でロールタックが全くできなかった時に比べ、数段の進歩を見せています。

 本日のミーティングでは各自のレース前に立てた目標を再確認しました。明日はやや強めの風が予想されますが、数字による成績のみでなく自分に課した目標が達成できるよう最後まで努力し,全力を出し切ってもらいたいと思います。

【成 績】


北村 ゴールドフリート 39位/55  27-21-24-19-27-21-(47)  脇 シルバーフリート  28位/55   37-(47)-38-27-30-5-43 多田 シルバーフリート   45位     34-42-39-47-33-(49)-44

若林    2位/39   15-1-(22)-8-1-1-2 村山    3位 14-9-(24)-3-2-7-3
Photo:原 貴夫
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トップ艇と激しいデッドヒートの若林選手
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ビーチから全ての運営艇、コーチボートが出艇。燃料の補給も一苦労
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ホストクラブ アットホームな雰囲気です
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男子ゴールドフリートはこの後リーチングへ女子は上りでゲート付近はいつも大混雑


Index レーザー4.7ユース世界選手権 第6日目(最終日)

大会閉幕。日本ユースチーム大活躍!!男女5部門で表彰台に立つ

最終日の予報はこのシリーズの中で最も風が強いということで、もう一度レースの組立てを再確認してハーバーに向かいました。朝から小雨が続いていましたが、昼から雨は止んで風が吹いてくるはずが、出艇するころには霧が出始めました。2m前後の風はあるものの風向は定まらず、レースに必要な2.5mに達することはありませんでした。結局、霧と小雨で長い風待ちの末、ノーレースとなり昨日の順位がそのまま最終結果となりました。
 
ブジオスのヨットクラブから離れた中心地の大きなレストランで閉会式が行われ、日本チームの活躍に各国の選手、コーチから惜しみない拍手と賞賛をいただき『ジャポン』コールが会場に響き渡りました。

表彰の内容は

女子総合          若林 友世    2位
              村山 仁美    3位
女子 アンダー16      村山 仁美    優勝
女子年代別 満16歳の部    若林 友世    1位
      満15歳の部    村山 仁美   1位
男子年代別 満14歳の部    北村 勇一郎  1位
    
です。
総合とアンダー16の2部門ではレーザーキューブが授与され、日本チームが合計3個のキューブを持ち帰ることになりました。

今大会は12歳から17歳までのユースの大会で国際レーザークラス協会にて年齢別の表彰等細かい規定があり,それに即した形で表彰がおこなわれました。
女子の成績は言うまでもなく素晴らしいのですが、特筆すべきはヨット強豪国が大人と変わらない形で選手コーチを派遣しているレベルの高い大会でしかも最年少で男子ゴールドフリートに入った北村選手です。予選終了時点より16位順位をあげて39位の成績は立派です。本人も年齢や強豪選手によるプレッシャーを跳ね除け「ゴールドフリートでシングルと取る」と最後まで挑戦していました。脇、多田両選手も北村選手と大きな違いはありません。しかし自分たちに足りないものをしっかり見つめてこの経験を糧に次へチャレンジしてもらいたいと思います。
ユースの選手にとってレイデーのない6日間のレースは大変だったと思います。今回は風が無くレースができない日が2日あり、また軽風レースで運を味方にした大会であったことに間違いありません。主催者側も例年は良く吹いていて12.5m(25ノット)以上の風で70分のレースを2本できるだけの肉体面の用意をしてくるように案内がありました。これもひとつのワールドスタンダードです。今後はこういった面をクリアできるようしっかりした国内のトレーニングの場が必要となってくるでしょう。
ともあれレースはレース、チームジャパン活躍おめでとう。よく頑張りました。帯同コーチ冥利です。そして日本からの多数の応援ありがとうございました。

Photo:原 貴夫
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決戦の朝、ウォーキングしながら思いにふける
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男子世代別表彰 右から3人目北村選手
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女子アンダー16表彰 表彰台中央 村山選手
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女子総合表彰  右 若林 左 村山両選手


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