● レース情報 / Race Informations 

2009Byte C11 Asian Championship & YOG Qualifier

飯島 洋一氏のレポートです

関連サイト:
公式サイト
http://www.bytechamps.org/pages/home.asp?EventID=19

Index 2009Byte C11 Asian Championship & YOG Qualifier のお知らせ

11月23日より29日までタイのパタヤで2009Byte C11 Asian Championship & YOG Qualifier が行われます。このレースは来年シンガポールで初めて行われるユースオリンピックのアジア予選を兼ねており、アジア諸国で上位3カ国に参加権利が与えられます(地元枠のシンガポールを除く)。
日本からは川村岳、村上仁美、樋口太郎の3選手が参加し国枠獲得を目指します。
アジア予選の事ばかりに目が行きますが、参加選手の中には2009レーザーラジアルワールドチャンプのKeerati Bualung(THA),2009年のByte C11チャンプのCHOY DARREN(SIN)も参加し(彼らは年齢を超えるため予選には関係ありません。)非常に高いレベルのレースになりそうです。

日本では馴染みの薄いバイト級ですが、見たところトレーニングボートとして非常に良いボートであるように感じます。やわらかいカーボン製のマスト、センタートラベラー、大きなセールエリア、レーザーに比べ短い船長。ユースやJr.セイラーが扱うには難しいと思われるようなボートです。これを乗りこなせればどんな艇種の船も乗りこなせるようになるのではないでしょうか?日本人選手も早めに現地入りして練習をしています。

国枠を獲得することももちろん大切なことですが、それ以上にタイやシンガポールのワールドチャンプと走り比べ多くのことを学んで帰り、今後の競技生活に役立ててほしいと思います。

2009Byte C11 Asian Championship & YOG Qualifier
Royal Varuna Yacht Club,Pattaya Thailand

参加選手
川村 岳 (和光中学校)
村上 仁美 (矢向中学校)
樋口 太郎 (宮崎大学附属中学校)

大会スケジュール
11月 23日 受付、計測
  24日 プラクティスレース
  25〜28日 レース
  29日 レース、表彰式

日本を代表した若いセイラー達が国枠を獲得できるよう、日本より熱い応援をよろしくお願いします。

Photo:飯島 洋一
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一度来たら日本に帰りたくなくなる南国リゾートRoyal Varuna Yacht Club
Photo:飯島 洋一
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暴れ馬のようなByteC11 に果敢に挑戦する村山選手。
難しい船を乗りこなそうと毎日必死ですが、乗るたびにうまくなっていっていることを彼らは全く気づいていません。


Index 2009Byte C11 Asian Championship & YOG Qualifier プラクティスレース

ここロイヤルバルナヨットクラブの朝は、パタヤビーチの騒がしさとは別の落ち着いた南国リゾートの空気が流れています。白く開放的なクラブハウス、広い芝生のボートヤード、南国ムード漂う日よけ傘、まさに理想のヨットクラブです。

13時よりプラクティスレースが始まりました。最初は沈ばかりしていたどの国の選手達も2〜3日の間にうまくなってきていて、見違えるように乗りこなすようになってきました。この年代の選手達の上達は、もの凄いものがあります。今日は岸よりの短いコースでしたが、明日はターゲットタイム45分の長めのコース4レースを予定しています。

レース終了後はヨットクラブでWelcome dinner があり本場のタイ料理を堪能しました。

いよいよ、明日12時よりレースが始まります。日本より応援お願いします。


Photo:飯島 洋一
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国枠獲得に挑む三人の日本人選手たち
Photo:飯島 洋一
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隣のビーチより着たコーチボート。南国リゾート風です。
Photo:飯島 洋一
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明日からのレースに待ちきれずリコール多数です。
Photo:飯島 洋一
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日本では見慣れないバイト級がここロイヤルバルナヨットクラブに集まりました。


Index 2009Byte C11 Asian Championship & YOG Qualifier 第1日目

大会初日、チームJPN中学生トリオ苦戦の発進

大会初日、昼前から吹いてくる北寄りの6〜8mの風で3レースが行われました。
朝から吹いている弱めの北北東の風が時間の経過とともに、左に風が振れ強くなるのがここパタヤビーチのパターンのようです。

さて,肝心のレースはというと地元タイのKeerati Bualong選手が他を寄せ付けない圧倒的なスピードでトップを走っています。
6m以上の風になると、どこを走っていても必ずトップになります。

日本人選手というと、集団の中でなかなか自分のレースをさせてもらえません。川村選手は自分の走りができたレースもあったようですが、そのほかのレースはスタートで出遅れたり、沈艇に巻き込まれたりと、集団の中でうまくレースをさせてもらえませんでした。
昨日もレポートに書きましたが、この年代の選手の適応能力には驚かされます。乗りたての頃は、今日の風でも沈ばかりしていた各国の選手達ですが、今日のレースでは皆、いつもバイト級に乗っているかのようにレースをこなしていました。

明日も今日と同じような天気予報ですので良い風のハイクアウトコンデションでレースが行われると思います。
レースは16レース予定。まだまだレースは序盤戦、日本人選手の明日からの巻き返しに期待します。

成績  参加 50 艇  男子 8 カ国  女子 4 カ国

樋口太郎  27-14-27   20位 川村岳   11-33-29   23位 村山 仁美 46-45-42   46位

Photo:飯島 洋一
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第1レーストップ集団に必死に食らいつく川村選手。
Photo:飯島 洋一
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下マークはこのクラスでもやっぱり大混戦です。
Photo:飯島 洋一
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綺麗に並んだ第1レースのスタート。


Index 2009Byte C11 Asian Championship & YOG Qualifier 第2日目

バイト級は420、470級への入門艇
めけずに頑張れ!JPN中学生セーラー


大会2日目、本日の1,2レース目は4〜6mで行われ、シンガポールの若い選手達がトップをとりました。シンガポールではバイト級が普及しており、たくさんの選手とサポートスタッフがタイに来ています。その中の一人のコーチは「バイト級は420、470へのステップアップに非常に良いクラスなんだ」。最近シンガポールの420、470級の選手の中には世界でも活躍する選手が現れており、この背景にはこのバイト級の存在があるからかもしれません。
続いて行われた第3レースは少し上がった風の中、タイのKeerati Bualong選手が3度目のトップフィニッシュをしました。

今日の日本チームですが、昨日に引き続き苦戦を続けています。良い順位を走っていても沈をしてしまうことが多く、非常に残念なケースが見受けられました。順位を上げよう、上げようとする気持ちが大き過ぎて空回りしてしまっているようにも感じました。シフトにも合わせられず、シフトに乗り遅れるなど、どうしても後手、後手のコースになってしまいます。
とはいえまだレースは序盤戦、苦戦は続いていますが何が起こるかわからないのが勝負の世界。チャンスが来たときに自分のものにできるように、明日からも諦めないでレースをしてほしいと思います。

【チームJPN通算成績】 
26位 川村 岳  11-33-29-41-31-23  127点  
28位 樋口太郎 27-14-27-24-36-42  128点
50位 村山仁美 46-45-42-48-50-49  230点
Photo:飯島 洋一
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南国風ミーティングルーム。ここでタイのJrセーラーはしごかれます。
Photo:飯島 洋一
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南国風日よけと出艇可能を示すD旗。
Photo:飯島 洋一
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リーチングで見る見る順位を上げていく村山選手(JPN23)。しかしこの後、キャプサイズしてしまいました。


Index 2009Byte C11 Asian Championship & YOG Qualifier 第3日目

選手たちのマナーの良さにびっくり
いまだプロテストはゼロ


大会3日目。昨日までより少し風の弱い4〜6mの風の中、4レースが行われました。このコンディションで4レースを行うとさすがにユース世代の選手には体力的に厳しかったように思われます。

風が弱いと前を走るのがシンガポールのNatthan Tang選手、昨日までトップのKeerati Bualong選手に同点で首位に並びました。優勝争いは残り2日のコンディションによって左右されそうです。

チームJPNの中では川村選手が今日は一度も沈することなく走りきりました。2レース目、集団に巻き込まれ順位を落としてしましたが、残りのレースを無難に走りきりました。まだ国別3位の中国とは少し点差があり、成績だけを見るともう一歩というところですが、今日はシフトに注意して集団を見ながらレースをしました。ヨットレースの面白さを感じたようです。そして帰着後、「あそこのタックが・・」とか「あのブローを」などの話が出ていました。
残り2日間落ち着いてレースをこなし、巡ってくるであろうチャンスをものにして欲しいと思います。

レースをコーチボートから見ていて驚くのは選手たちのマナーの良さです。各マークは写真のとおりの大混戦です。その中でもほとんどの国の選手はきちんとルールを守り、マークをすり抜けていきます。その結果、今日までプロテストは一つも出ていません。これは大人のレースでもあまりないことです。
もちろんこのJr・ユース世代は技術を学ぶのはもちろんですが、このようなしっかりしたマナーを身につけていかなければならないと改めて思いました。

【チームJPN通算成績】 参加 50 艇 (男子 8 カ国  女子 4 カ国)

28位 川村岳   11-33-29-41-31-23-17-41-16-28  188点 (国別4位)   31位 樋口太郎  27-14-27-24-36-42-30-44-21-29  208点 48位 村山 仁美 46-45-42-48-50-49-39-39-38-48  345点 (国別4位)
Photo:飯島 洋一
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小さなハルの割に大きなフルバテンセール。
Photo:飯島 洋一
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真剣な面持ちで艤装する川村選手。今日はヨットレースの楽しさを肌で感じたようです。
Photo:飯島 洋一
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各コントロールロープが手元までリードされたバイト級のコクピット。
Photo:飯島 洋一
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レースを頑張ったあとは開放的なヨットクラブのレストランでおいしいランチです。
Photo:飯島 洋一
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今日の弱めの風でシンガポールに同点で並ばれてしまったKeerati Bualong選手


Index 2009Byte C11 Asian Championship & YOG Qualifier 第4日目

4日で13レース消化。疲れはピークに。
ハードルは高いが、頑張れ!


大会4日目。今日もいい風が吹きました。約350°の風が6〜7m。今日も選手は目いっぱい3レースです。現地入りしてから練習時間は決まって北からの潮だったのですが、満潮が徐々にずれて今日の第1レースは南から北の風向とは逆の潮になりました。フリートはその中でゼネリコを繰り返し、ブラックフラッグ掲揚。そして4艇が失格になりました。その中には昨日ようやく首位に立つことができたSIN1 Natthan Tang選手、そして日本の樋口太郎選手も含まれていました。

今日も日本人選手たちは苦戦が続きました。スタート後のスピード勝負についていけず、トップ集団とともに良い風の中でタックできないようです。

明日は最終日、天気予報は今日とほぼ同じ予報です。いつになったらこの北風は止むのでしょうか?日本でイメージトレーニングしてきた微風のセールセットは用無しで終わってしまいそうです。

4日目を終えて、悔しいのですが「これが今の実力」であることを率直に認めざるを得ません。
しかし、進化はこれからです。願わくば、選手達には海外選手達から少しでも多くのことを学んで、次につなげてほしいと思います。頑張れ3選手!

4日目終了時の通算成績  (参加 50 艇 男子 8 カ国 女子 4 カ国)

28位 川村岳   11-33-29-41-31-23-17-41-16-28-25-38-34 285点 (国別4位)

31位 樋口太郎  27-14-27-24-36-42-30-44-21-29-BFD-27-18   295点

48位 村山 仁美 46-45-42-48-50-49-39-39-38-48-43-50-50  487点(国別4位)
Photo:飯島 洋一
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真剣な表情で出艇前にストレッチをする村山選手。
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今日もハイクアウトコンデションで3レース、選手達はもうクタクタです。
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今日の第1レースでBFDになってしまった樋口選手。続いた第3レースで18位と健闘しただけに失格が悔やまれます。


Index 2009Byte C11 Asian Championship & YOG Qualifier 第5日目(最終日)

大会閉幕。国枠は取れなかったが、大きな学習経験をしました。
これを糧に、一層の飛躍を。


大会最終日も風は吹き止みませんでした。6~8mの風で3レース。最終レースは制限時間の10分前にスタートです。強めの風だとタイのKeerati Bualong選手が手をつけられません。3レースともトップでフィニッシュし、優勝に華を添えました。

日本選手は樋口選手が頑張り、前日より少し順位を上げました。全16レース。この5日間、日本選手は慣れない艇で本当に良く頑張りました。いや、5日間だけでなくユースオリンピックを目指し、大会前からの練習、トレーニングなど懸命に頑張りました。結果は残すことができませんでしたが、このチャレンジで技術はもちろん、精神的にも肉体的にも一歩上のレベルに上がったことは間違いありません。ただ・・・・他の国のライバル達は皆より、もっと頑張っていました。まだまだ日本選手は頑張らないといけません。ハイクアウトを持続させる力、艇をコントロールさせる力、風を読む力、たくさん頑張らなければなりません。それと同時に選手をサポートする我々大人達も「もっと頑張らなければならない」と痛感しました。

最後になりましたが、今回のユースオリンピック国枠獲得チャレンジにおいて協力いただいた皆様、誠にありがとうございました。合わせて、彼らは口にこそ出しませんが皆様に本当に感謝しています。
彼らはこの悔しさ、経験をバネに、帰国後少しだけ休んで、今まで以上にハードなトレーニングをすることを私に約束してくれました。
どうか彼らの進化を見守ってください。
彼らの「頑張り」にエールを送り、レポートを終了します。

【最終成績】  (参加 50 艇: 男子 8 カ国 女子 4 カ国) 

  26位 樋口太郎  27-14-27-24-36-42-30-44-21-29-BFD-27-18-16-20-26                             315点(国別4位)

  31位 川村岳   11-33-29-41-31-23-17-41-16-28-25-38-34-23-31-36                           337点

  48位 村山 仁美 46-45-42-48-50-49-39-39-38-48-43-50-50-BFD-50-50                            587点(国別4位)

Photo:飯島 洋一
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良い風。良い運営。良いヨットクラブ。そして選手達の良いマナー。最高のレースでした。
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閉会式で笑顔を見せる村山選手。成績よりもこの笑顔が一番大切なのかもしれません。
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今大会のウィナー達。何年後かには、彼らと胸に国旗と五輪のマークを付けてレースがしたいものです。
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今大会のグッドマナー賞達。これからもよきライバル達です。



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