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2008年スプリットオリンピックウィーク

斎藤 愛子氏のレポートです

関連サイト:
全体の成績
http://www.jklabud.hr/sosw/rezultati/08/laser/total/Rpl_gus_09_en.html

Index 2008年スプリットオリンピックウィーク 第1日目
4月1日から4日の日程で、クロアチアのスプリットにてオリンピックウィークが開催されます。同大会には日本からレーザー級北京五輪代表の飯島洋一(飯島木型)が参加しています。グレード1の大会と比較すると小規模で参加艇数も少ないのですが、クロアチアはレーザー級が強い国で、世界選手権のトップ20に入る選手がそろっている上、隣国スロベニアからはアテネ五輪の銅メダリストのズボガー選手も参加しています。飯島はスポーツが盛んなクロアチアに武者修行のつもりで参加しました。

大会が開催されるスプリットはクロアチアの西海岸で、アドリア海に面したセーリングの盛んな場所です。クロアチアのオリンピック強化の基地となるヨットクラブ・JKラボッドが主催クラブです。首都のザグレブからは400km南になりますが、対岸のイタリアにはフェリーが毎日運航しており、イタリアとの交流が盛んな世界遺産の旧市街をもつ観光都市です。

レーザーは6カ国19艇が参加していますが、キプロス、クロアチア、スロベニアと日本から五輪代表選手が参加しており、初日の軽風で波のあるコンディションは青島と似ていることから、上位陣は熱の入った接戦を展開していました。第2レースでは最終上マークで飯島とズボガーが順に回りましたが、飯島は、「後ろを見たら抜かれると思い、集中して前を見て走りました。」と。ズボガーには迫られましたが、何とかフィニッシュまで抜かれずに走ることができました。期間中、できるだけ多くの技術を盗みたいものです。

明日も同じように高気圧の中、午後から海風でのレースとなりそうです。4日までに毎日3レースを行います。

日本からの参加:
 レーザー級 6カ国19艇参加  
 8位  飯島 洋一  飯島木型
   9−6

Photo:斎藤 愛子
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第1レースでトップ回航のズボガー選手(クロアチア)はアテネ五輪の銅メダリストです。
Photo:斎藤 愛子
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クロアチアにはトップレベルの選手が数名いるため、レベルの高い接戦が続きます。飯島には貴重なレース経験になっています。

 

 

Photo:斎藤 愛子
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正面に見えるのが世界遺産になっているクロアチア・スプリットの旧市街と教会塔です。 


Index 2008年スプリットオリンピックウィーク 第2日目

2日目のスプリットは朝から風がなく、背後にせまる山の上に雲が覆うようにひろがりはじめました。まったりした空気が流れる中、とにかく待つのみで、夕方4時にレース委員会の本部艇が海上に出て、僅かな風でレースを行うかどうかを協議している間に風がなくなり、本日、ノーレースの決定が下されました。

陸での時間は貴重な情報交換もできました。クロアチアの選手がタフなサイボーグばりのハイクアウトをするのはどういうトレーニングをしているかを聞きました。子供の頃から学校体育でいろいろな運動をしていること、またOPでヨットレースの基本を覚えてしまうから、そこから体の成長に合わせてオリンピック種目の中で自分に適正なものを選んで先へ進むプログラムが考えられています。レーザー級は身長が175cm以上あることが重要で、体重はコントロールできるが身長が生まれながらのものと考えています。体を作るのは背が伸びるのがとまってからで、筋トレの基礎から始まり、持久力を高めるための走力、自転車でのアップダウンのインターバル、バスケットやサッカーなどの球技をやりますが、当たり前のように何でもこなせる運動神経の持ち主達ですから、サイボーグのようなハイクアウトができるのもわかります。

でも、こちらへ来てから、飯島がその中に入っても、しっかりミニサイボーグのように見えますから、体力面ではしっかりと世界の流れについていけるようになりました。ダウンウィンドの技術を高めるには、とにかく練習で競り合いながら、少しでもスピードを落とさないことを考えて長い距離を走ることの積み重ねです。彼らは体にスピードをしみこませて、考えなくても体が動くまで乗り込んできています。

明日は北からの風で3レースができるのではないでしょうか。山では雨が降りましたから、天気の変化で寒くなりそうです。春は風が安定しませんが、とにかくレースができる風が吹くことを祈るだけです。

日本からの参加:
 レーザー級 6カ国19艇参加    本日レース無し 
 8位  飯島 洋一  飯島木型
   9−6

Photo:斎藤 愛子
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スプリットのJKラボットとJKもモナーは同じマリーナにあります。微 妙にライバル意識がありますが、多くのオリンピック代表を出してきました。
Photo:斎藤 愛子
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沖にブローラインが見えるのですが、イタリアとの間に就航している定期フェリーがブローを追い越して走ってきました。風は弱く、入りそうで入らない1日でした。

 

 

Photo:斎藤 愛子
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ヨットクラブから事前に国旗を持参するように連絡がありましたが、弱い風ではたれさがるのみでした。
Photo:斎藤 愛子
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風待ちの時間にPCをヨットクラブの無線ランについないでインターネットを楽しむ飯島。横浜市がJOCのパートナー都市になり中田市長が調印式に出ているニュースで盛り上がりました。飯島は横浜市在住です。 


Index 2008年スプリットオリンピックウィーク 第3日目

今日のスプリットは気温10度、朝から雨が降る中、11時30分に第3レースがスタートしました。北東の風が12ノット、強弱あり、シフトあり、エリア内にむらありと、難しいコンディションのレースでしたが、飯島は6−3と調子をあげて、トータルでも6位にあがりました。今日は3レース予定していましたが、2レース目途中で風がなくなり、2レースのみとなりました。

今日の飯島はアップウィンドでもダウンウィンドでも接戦の中で抜いたり、抜かれたりのレースで粘り勝ちできました。昨日から10度も気温が下がり、キプロスのように集中力が持続できない選手もいましたが、課題をひとつづつ克服していく中で、飯島は自分の走りができるようになってきました。

トップにでたズボガー選手(スロベニア)はアテネで銅メダルをとりましたが、北京では本命イギリスを倒す筆頭の選手で、12ノットから弱まり、2レース目の最後は3ノットまで落ちる中、風の変化に合わせた走りの鋭さは見事でした。

それにしても、クロアチアの6選手は強いです。飯島が3位に入ったレースでは最後の最後までミラン選手と競り合いましたが、普段から接戦に慣れているミランはあわてることなく、ワンチャンスで頭を出して、飯島の前でフィニッシュ。強風でのスーパーハイクアウトだけでなく、微風での忍耐力も持ち合わせています。基礎体力がある上に、シーズンが始まったら毎日セーリングをして培うセーリング体力があるのが強みだと思います。クロアチアチームはだらだらと長い時間乗るのではなく、2時間から3時間の練習を集中して走るのが基本です。

明日最終日は2レースを予定しています。北風で寒い1日かもしれません。

日本からの参加:
レーザー級 6カ国19艇参加  本日2レース 
 6位  飯島 洋一  飯島木型
   9−6−6−3

Photo:斎藤 愛子
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2レースともトップで総合でも1位にでたスロベニアのズボガー。スピードを落とさない丁寧な走りに驚かされます。
Photo:斎藤 愛子
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いつも1上マークはいいのに、寒さに弱いのか最後まで集中できていなかったキプロス。

 

 

Photo:斎藤 愛子
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飯島は弱まる風でも丁寧に走り、接戦の中でも負けません。
Photo:斎藤 愛子
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フィニッシュ前のデッドヒートは北京五輪クロアチア代表のルカとミラン(手前)。飯島も落ち着いて上からルカを抜きました。


Index 2008年スプリットオリンピックウィーク 第4日目(最終日)
最終日は朝から北東の風が20ノットを越えるガストで入り、地元の人達がブーラと呼ぶ山からのおろしの強風でした。クロアチアにきたからには、サイボーグ軍団と強風での勝負をしてみたかったので、絶好のチャンスでした。

1レースしかできなかったのですが、岸のそばのレースエリアだったため、強弱が激しく、シフトも頻繁な、体を使うだけでなく、考えてコースをとらなければならないレースでした。スタートから1上まではスロベニアのズボガーがリードをしていましたが、2上までの間にクロアチアの若手でここのところ急激に伸びてきたトンコ選手がトップにでました。OPからレーザー4.7、レーザーラジアルを乗り継いで2005年からフルリグにあがってきた選手ですが、すでにグレード1の大会でトップ20に入る実力の持ち主です。疲れを知らないハイクアウトと果敢なダウンウィンドで危なげなくトップをキープしました。2位にズボガーが入り、優勝をきめ、4位で入ったミランがトータルで2位になりました。

飯島はアップウィンドでルカ選手と2艇右よりのコースをとり、左からのガストにのれずに1上で先頭集団から遅れてしまいました。ダウンウィンドでも1回沈する場面があり、久々の強風に体が出遅れていました。レース後半にはシャープな動きが戻ってきましたが、9位をとり、総合で7位です。ポーランドやキプロスに競り勝ち、このメンバーなら8位には入らなければならないと思っていた目標をクリアできました。

次は8日からイタリアのガルダ湖でのオリンピッククラスが集まるガルダウィークです。470男女、RSX男女、49erチームもすでにガルダ入りして準備をしていますので、レーザーも合流します。クロアチアでは小グループでのレースで強い選手達と手合わせができて、大きなプラスになりました。ここで見つけた課題にガルダで取り組み、イエールで結果が出せるように練習を続けていきます。期間中、応援いただき、ありがとうございました。
日本からの参加:
レーザー級 6カ国19艇参加  本日1レース
 7位  飯島 洋一  飯島木型
   9(9)−6−6−3−9

Photo:斎藤 愛子
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最終日は北東の山からのおろしで、ブーラとよばれる強風の中でのスタートでした。
Photo:斎藤 愛子
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1上マークを回ってリーチングに入るクロアチアのサイボーグ軍団。吹いたら速いです。

 

 

Photo:斎藤 愛子
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ミランのジャイブ。ブームが水をたたいても、力でねじふせていきまし
た。
Photo:斎藤 愛子
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飯島のリーチングは20ノットを超えるガストの中で凄いスピードでした。
Photo:斎藤 愛子
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優勝したスロベニアのズボガー選手とちょっとミーハーな飯島。

 

 

Photo:斎藤 愛子
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2位のミランと飯島。ミランは地元の選手で、飯島の到着時からいろいろと世話になりました。


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