● レース情報 / Race Informations |
斎藤 愛子氏のレポートです
Photo:斎藤 愛子
(写真をクリックで拡大)開会式はブレストの市民ホール前で行われ、壁画をバックに記念撮影でした。
関連サイト: 大会全体のサイト
http://www.rsxclass.com/europeans08.html 成績 http://www.rsxclass.com/euros2008/livescores.html
2008年RS:X級 ヨーロッパ選手権大会
2008年RS:X級 ヨーロッパ選手権大会 第1日目
初日は11時スタート予定が風がなくて陸上待機になり、13時すぎから男子が1レース、その後また無風になったので男子は一度陸へ戻り、15時すぎに女子が出て2レースを行い、男子がその後から海へでてレースをはじめたのが19時。すべてのレースが終わってハーバーへ戻ったのが20時すぎで、たいへん長い1日でした。
男子76艇はイエローとブルーの2グループに分かれて予選2レースを行い、富澤はトータルで7位につけています。ヨーロッパ選手権ですから、ヨーロッパ圏外からの参加は、ブレストオープンという形での参加になります。また、上野も2レース目は14位をとり、「コース選択はばっちりなんだけど、体力がついていかない・・」と、ベテランらしいレースぶりを見せて、2レース終了後にゴールドフリート圏内をキープしました。
女子は51艇が1グループでのスタートです。小菅はスタートでうまくでられず、走りで上位にスピード負けしており、20位前後の位置からあがれず苦しい1日でした。風のむらが多い海面でのレースになったので、トップが入れ替わり激しく、上位から中盤以下まで転落する選手も多々みられました。
明日は11時から女子、13時から男子のスタートを予定しています。朝からちゃん とレースができて、今日のように遅くまでレースをせずにすむように祈ります。
RSX級男子 29カ国76艇参加 本日2レース 7位 富澤 慎 関東自動車工業 7−6 36位 上野 一也 ウインタートゥールスイス生命保険 22−14 RSX級女子 25カ国51艇参加 本日2レース 19位 小菅 寧子 ジェイ・ウィル・パートナーズ 19−23
Photo:斎藤 愛子
(写真をクリックで拡大)女子のスタート。小菅は混雑した中からしっかりスタートしていきました。
Photo:斎藤 愛子
(写真をクリックで拡大)ブレストの南東にある橋をバックにスタート直後のフリートをリードするのは地元のマレット選手のF9です。
Photo:関 一人
(写真をクリックで拡大)イエローグループのスタートで並んででていく富澤(JPN10)と上野(11)。
Photo:関 一人
(写真をクリックで拡大)第1レースでは途中、ギリシャのニコスと競り合う場面もありました。
2008年RS:X級 ヨーロッパ選手権大会 第2日目
今日は女子が定刻の11時にスタートし、続けて2レースを行いました。13時のスタート予定で後から海上にでてきた男子は1レースを行ったところで風がなくなり、一度ハーバーへ戻ってから、17時に2レース目を行い、男女とも2日間で4レースずつを終えました。
北東の風が7−9ノット吹く中で、ガストに入ってプレーニングするか、抜けてパンピングするかで勝負が決まりました。上位の選手はずっとガストにのって走ってくるのですが、先に抜けてしまった人から落ちてしまいます。特にランでの強弱のつかみは決定的でした。小菅はコースどりで工夫しながらも、トップ艇群と比べるとスピードにのるのが遅れてしまい、いまひとつ前へ出せない走りにおわりました。ダウンウィンドではパンピングが持続するようになり、抜いたり、抜かれたりながらも、あがってくるのはよかったです。「明日は、もっとこぎます。(小菅)」というように、明日も弱い風の予報がでています。
男子は風が少し弱まった中での1レース、一度陸へ戻って、しきりなおしで行った2レース目は8ノット前後の風ながら、ガストに入った選手が後続艇に差をつけてしまい、前にいると風を逃さずにコースがとれてリードを広げる展開でした。ラルにはまると数艇にごっそりやられてしまい、なかなか順位をあげることができませんでした。2レース目でトップをとったオランダのキャスパー選手は2mの長身で重たいのですが、ガストをうまくつかみ、抜け出してしまいました。富澤はいまひとつ風に乗り遅れて10位と13位で、トータルは13位に後退しました。上野は41位でゴールドフリートへのボーダーラインのため、明日の2レースにかけます。
明日3日目は男子11時スタート、女子13時スタートで2レースを予定しています。予報は弱い東風で、定刻どおりにレースができるのか、少し不安です。明日で男子は予選最終日です。
RSX級男子 29カ国76艇参加 本日2レース 13位 富澤 慎 関東自動車工業 7−6−10−13 41位 上野 一也 ウインタートゥールスイス生命保険 22−14−20−31 RSX級女子 25カ国51艇参加 本日2レース 16位 小菅 寧子 ジェイ・ウィル・パートナーズ 19−23−17−17
Photo:関 一人
(写真をクリックで拡大)「実力どおりの順位になってしまいました。あああ。」(上野)
Photo:関 一人
(写真をクリックで拡大)オランダのキャスパーは2mを越える大男です。初代RSXワールドチャンピオンです。
Photo:関 一人
(写真をクリックで拡大)富澤は、「今日はベテランが経験いかして、きっちりレースして、若手がずるずる落ちていったレースでした。」といいつつも、自分のレースを振り返り、う〜ん、とうなるばかりでした。
Photo:斎藤 愛子
(写真をクリックで拡大)スタートラインか、それともコーラスラインか・・・女子はピンクのビブスと黒ウエットスーツ、ポニーテールが定番で、誰が誰なのかわからない状態です。
となりの板に足がのりそうなくらい接近してスタートしていきます。
Photo:斎藤 愛子
(写真をクリックで拡大)大会はインターネットで中継しようと、海上から陸へ映像と回航順位を無線通信で飛ばしています。リアルタイムで陸の巨大スクリーンにうつり、実況放送が入るのは国体によく似ています。
Photo:関 一人
(写真をクリックで拡大)フィニッシュ直前の小菅。プレーニングしたり、パンピングしたりの強弱があるコンディションで、なかなか前を走らせてもらえません。
Photo:関 一人
(写真をクリックで拡大)女子のレースが終了して、ハーバーへ戻った時間は潮がだいぶ引いており、スロープの長いこと。ボードをコロのついたバッグに載せて運ぶ小菅。こけが岩についている上まで、水位はあがってきます。
2008年RS:X級 ヨーロッパ選手権大会 第3日目
今日も風待ちで、朝11時のスタートにあわせてハーバーに到着した男子選手は、14時頃に一度出艇を試みたものの風がなくなり陸へ戻され、次にAP旗がおりたのは18時12分、女子は18時45分に降りて海へ出ました。男女1レースを行い、男子は今日で5レースを消化したため、予選が終了し、8日から決勝グループでレースをはじめます。
18時をすぎるまでずっと陸上待機だったので、今日はもうないかもしれないという楽観もありましたが、21時まで明るいブレストですから、18時すぎの出艇もありでした。富澤と上野はハーバー周辺を散策している最中にAPがおりて、あやうくスタートに出遅れるところでした。男子はポルトガルがダントツになり、トータルでもトップで予選を通過しています。富澤は9位をとりましたが、トータルは16位に後退、明日の予備日はレイデーで休みになります。上野は今日もがんばりましたが、20位で、トータル40位となり、惜しくも38位までのゴールドフリートに残ることができませんでした。
女子は19時15分スタートがゼネリコになり、やり直して19時28分にスタートしました。レースエリアは男子の時よりも風が安定して入りましたが、プレーニングできるガストに長く入ることと、持っているスピードを100%出せているかがポイントでした。昨日までいまいちだったワールドチャンピオンのバーバラ・ケンドールが今日はセッティングを少し変えてでてきて、上位に入ってきましたが、ポーランドのゾフィア、スペインのマリナ、フランスのフォースティンらは1ランク上の走りで上位を独占しています。「スピードが、上位に比べると、ないです。ちょっとしたことなんでしょうけど、いいポイントやバランスを探りながら走っているからガストに入ったときにおいていかれてしまっています。(小菅)」
明日はレイデーで休み。8日からしきりなおして、後半戦が始まります。
RSX級男子 29カ国76艇参加 本日1レース 16位 富澤 慎 関東自動車工業 7−6−10−13ー9 40位 上野 一也 アクサフィナンシャル生命 22−14−20−31−20 RSX級女子 25カ国51艇参加 本日1レース 20位 小菅 寧子 ジェイ・ウィル・パートナーズ 19−23−17−17−17
Photo:斎藤 愛子
(写真をクリックで拡大)朝から夕方18時まで陸で待ちました。もう終わりかと思いきや、AP降下で、みんなすっ飛んで海にでました。
Photo:斎藤 愛子
(写真をクリックで拡大)上野はあと1歩及ばず、シルバーフリートになってしまいました。
Photo:斎藤 愛子
(写真をクリックで拡大)接戦の中でふんばる小菅。
Photo:関 一人
(写真をクリックで拡大)プレーニングコンディションの中でがんばる富澤慎。上野も必死に食い下がっています。
2008年RS:X級 ヨーロッパ選手権大会 第4日目
本日 レイデー
2008年RS:X級 ヨーロッパ選手権大会 第5日目
7日はレイデーで1日休み、今日は朝から雨。時折、稲光も見えたりして、付近では雷雨になっていました。風は一日中あがったり下がったりしながら、右へシフトしていきましたが、午後4時過ぎには霧が濃くなり、風も不安定なままだったので、レース委員会は午後5時半に本日のレース中止を決定しました。決勝に入っての初日が中止はつらいところですが、天気には勝てません。明日、やり直しです。
RSXは五輪本番でチャーター艇を使いますが、艇差をなくすために建造元から新しい五輪用仕様の板とマスト、3世代目のセールが配られます。すでにマストとセールは市場に出回っていますが、板はやっと建造が終わり、5月末か6月初旬に売りだされることになっています。「マストが硬い。いいフィーリングで走れない。」と本番用のマストの硬さに頭を痛めているのが小菅ですが、サポート陣と話ながら、これから日本へ帰ってからの練習で何を考えていくか、今日の暇な時間を使って相談をしました。富澤もその話を聞きながら、自分の中で「追い込みの練習はもう終わったと思っていたけど、日本帰ったら、またやらなきゃだめじゃないですか。」と、ひらめくところがあったようです。マストベンドを測定するおもりは30kgにしたらいいといって、30kgのウエイトトレーニング用の板を考えていた富澤に、「10kgのを3枚にしてくれる?30kg一個じゃ運べない・・・」と漫才みたいな会話に笑いました。
7日がレイデー、8日が8時間の風待ちの末にノーレース、明日9日はレースができることを祈ります。プレーニングコンディションなら3レースを行いますが、2レースやって1度あがり、休んでから3レース目を行うスケジュールになります。予報はあまりかんばしくないですから、とにかく、レースができることを願っています。
RSX級男子 29カ国76艇参加 本日レースなし 16位 富澤 慎 関東自動車工業 7−6−10−13ー9 40位 上野 一也 アクサフィナンシャル生命 22−14−20−31−20 RSX級女子 25カ国51艇参加 本日レースなし 20位 小菅 寧子 ジェイ・ウィル・パートナーズ 19−23−17−17−17
Photo:斎藤 愛子
(写真をクリックで拡大)陸での待ち時間はパソコンでひまつぶし。
Photo:斎藤 愛子
(写真をクリックで拡大)時間があり余ってしまい、ハーネスの研究もしました。フックの位置を工夫している富澤。
Photo:斎藤 愛子
(写真をクリックで拡大)マストのチェックで、五輪仕様マストにセールをつけてチェック。今後の 練習方針も考えていました。
Photo:斎藤 愛子
(写真をクリックで拡大)8時間の陸上待機の後、今日はレースができず、AP/A旗があがり、明日しきりなおしです。
2008年RS:X級 ヨーロッパ選手権大会 第6日目
朝から雨が降る中、8−10ノットの風で定刻11時を少し回ってからのスタートになりました。男子2レース、女子2レースを行い、一度陸へ戻った後にもう1レース実施する予定で選手全員待機していましたが、風が落ちてしまい、プレーニングコンディションではなくなってしまったことから、1日3レースを実施できず、2レースのみで本日のレースが終了となりました。
ゴールドフリートになってからのレースは厳しく、富澤はスタートから前へ出ることができません。強弱のあるエリアで中盤から抜け出せないで終わりました。10ノット前後の風ではトップクラスと中盤の選手とで差があります。富澤はまだその域のスピードが出せておらず、更なる研究が必要です。シルバーフリートになった上野は冨澤のサポートも兼ねていますので、今日はコーチボートから上位選手の研究と富澤の走りをチェックする役割を果たしていました。
小菅は男子の後にインナーループでのレースとなりましたが、今日はスタートからよいスピードで前へ出ることができ、先日までとは走りが変わりました。セールのセッティングと乗り方を少し修正したのですが、よい方向へ変化したようで、1上マークは3位で回ることができました。課題はフリーで、ガストの中でジャイブしすぎたことが原因で、プレーニングで伸ばした艇群にやられてしまいました。それでも、五輪本番で使う道具のことを考えて、ひとつひとつ問題点を解決しているので、前へ出るスピードが戻ってきたことはよかったです。
ヨーロッパ選手権はヨーロッパ外からのエントリーをのぞきます。明日最終日のメダルレースでは女子のニュージーランド、男子のブラジルがトップ10でメダルレースに残っていますが、これはブレスト・オープンのトップ10であり、メダルレースにはもう1選手ずつヨーロッパ選手が入ります。男女とも、合計11艇ずつがメダルレースに進出し、12位以下の選手が最終レースを別に行います。
明日は11時からメダルレース、12時から最終レースを行います。
RSX級男子 29カ国76艇参加 本日2レース 20位 富澤 慎 関東自動車工業 7−6−10−13ー9−25−24 60位 上野 一也 アクサフィナンシャル生命 22−14−20−31−20−DNC−DNC RSX級女子 25カ国51艇参加 本日2レース 21位 小菅 寧子 ジェイ・ウィル・パートナーズ 19−23−17−17−17−23−22
Photo:関 一人
(写真をクリックで拡大)男子の第7レーススタート。富澤は中央から出ましたが、ちょっと飛び出しが足りなかったようです。
Photo:関 一人
(写真をクリックで拡大)1点差で総合2位のリカルド・サントス選手。明日のメダルレースではポルトガル、フランスと優勝争いになります。
Photo:斎藤 愛子
(写真をクリックで拡大)1上マークまでは2レースとも3位の小菅。ちょっとミスが多い1日になり、20番台に落ちてしまいましたが、走りに改善がされてきたので、1歩前進した内容でした。
Photo:斎藤 愛子
(写真をクリックで拡大)時ポルトガルのジョアオ・ロドリゲスは男子のトップです。
Photo:斎藤 愛子
(写真をクリックで拡大)潮が速い中でのレースではマーク際がポイントになりました。慎重にマーク回航する富澤。
2008年RS:X級 ヨーロッパ選手権大会 第7日目(最終日)
最終日は霧の朝で、風が全くない状態で陸上待機になりました。メダルレースと12位以下のファイナルレースを予定していましたが、あまりの風のなさに、13時を過ぎたところで、ファイナルレースが中止になり、メダルレースに出場する男女11艇ずつのみが待機となりました。その後、14時30分まで待ったものの、やっと吹き始めた海風も弱いまま安定せず、時間ぎれでメダルレースも中止となりました。
風に恵まれない大会ながらも、わずかなチャンスでレースを実施できたことは良かったし、北京五輪本番の青島を考えれば、潮も速く、風もなく、風がでたときにあわててレースを実施する運営の段取りもよく似た展開でした。男子のポルトガルはバルセロナ前からウィンドサーフィンでトップレベルの活躍をしているジョアオ・ロドリゲスですが、97年にもヨーロッパタイトルをとっているベテランです。ブラジルとの激戦は迫力のあるものでしたが、吹いても吹かなくても安定した成績は、北京へ向けていいサインです。女子はスペインのマリナ・アラバウがトップでフィニッシュしながらもBFDで失格になったため、フランス2艇とポイントが競っての優勝でしたが、今回のコンディションでは他を圧倒するスピードを見せています。プレ五輪ではいまひとつ走れていなかったので、波がある軽風ではどうなのかという点に興味が集中しますが、今回は見事な優勝でした。3位のフォースティン・メレットは地元でもあり、アテネ金メダリストで、北京代表です。僅差での3位ながらも、2連覇を視野にいれています。挽回策をねって青島へいくのでしょうか。
富澤は20位、小菅は21位で終わりました。トップレベルの選手がそろった大会だっただけに、いまひとつ走りきれていない部分もありましたが、五輪本番まで残り2ヶ月半で課題の克服につとめていくしかないでしょう。両選手とも、青島で多い微風のコンディションでは走りがよくなっていますが、やや強めの風の時にトップスピードでついていけてません。あまり細かいことにしぼっていかず、いいところは磨きをかけ、本番の道具をどう使いこなして、自分の走りを作るか、準備が非常に重要なところです。
ヨーロッパ選手権は本日で終了です。RSX男女はこの後大きな大会がないため、北京五輪の準備トレーニング、本番仕様の板やマストの調整が中心になり、日本での練習となります。微風のパンピングにそなえてフィットネスの充実もありますので、プログラムがうまく実行できるよう期待します。両クラスとも、メダルレースが狙える種目ですので、今後のがんばりに、応援よろしくお願いします。
次は5月21日からのホランドレガッタに470女子の近藤・鎌田組、49erの石橋・牧野組が出場します。1週間にわたり、応援をいただき、ありがとうございました。
RSX級男子 29カ国76艇参加 本日レースなし 20位 富澤 慎 関東自動車工業 7−6−10−13ー9−25−24 60位 上野 一也 アクサフィナンシャル生命 22−14−20−31−20−DNC−DNC RSX級女子 25カ国51艇参加 本日レースなし 21位 小菅 寧子 ジェイ・ウィル・パートナーズ 19−23−17−17−17−23−22
Photo:斎藤 愛子
(写真をクリックで拡大)最終日は朝から無風。15時がスタートの最終時間制限だったため、ずっと待ちました
Photo:斎藤 愛子
(写真をクリックで拡大)天気は晴れ。風がなくて、みんなで井戸端会議です。一番右が優勝したポルトガルのジョアオ。
Photo:斎藤 愛子
(写真をクリックで拡大)わんちゃんもボードケースの上で風待ちです。
Photo:斎藤 愛子
(写真をクリックで拡大)女子はスペインが優勝、フランスが2−3と続きました。
![]()