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2008年プリンセスソフィア杯

斎藤 愛子氏のレポートです

関連サイト:
全体の成績
http://www.trofeoprincesasofia.org/result.php?miclase=470%20Women

Index 2008年プリンセスソフィア杯 第1日目

第39回プリンセスソフィア杯MAPFREがスペイン・マヨルカ島のパルマで始まりました。16日が初日になりましたが、日本からは北京五輪代表の470女子、49er級が遠征しています。

初日はやや弱めの風でスタートし、中風下で2レースを行いました。レーザーラジアル級が同時期にニュージーランドで世界選手権を開催していることや1月にオーストラリアで開催されていた49er、470、フィンの世界選手権やマイアミで開催されていたイングリングなど艇の輸送が間に合わないために参加できない選手も多かったのですが、日本から参加の3艇はメルボルンからの輸送が何とか間に合い、参加にこぎつけました。

470女子は近藤・鎌田組が4−16で8位の滑り出しですが、初日の話題は1−2位の完璧な走りをみせてトップにでた地元スペインのデフレスネ組でした。今回がスペイン代表選考の最終戦となりますが、アテネ五輪銀メダルの強豪の復活に近藤・鎌田は厳しい戦いをしいられることになりそうです。

近藤組のトレーニングパートナーとしてヨーロッパ遠征に出ている原田・吉田組が470男子に参加しており16位です。上位の顔ぶれは艇が間に合わないせいか少なくなっており、むしろ、原田組がロンドン五輪を目指して戦うであろう、次をになう若手がひしめいている状況です。

49erの石橋・牧野組は第1レースで2位をとり、トータルで14位と好調です。
49erもスペインのアロンソ組がリードしていますが、代表選考の最後の大会になるため、アテネ金メダルのマルチネス組との競合いがあります。49erはソフィア杯に続き、同じ場所でヨーロッパ選手権が開催されるため、前哨戦となります。

大会は16日ー18日まで予選、19日−20日が決勝グループでのレース、21日はトップ10によるメダルレースとなります。

日本選手の成績:
 日本からは3クラス3艇、6選手(男子4名、女子2名)出場します。
 49er級  22カ国52艇参加 2レース実施
 14位  石橋 顕 ・ 牧野 幸雄  福岡ヨットクラブ(Team Believe)
   2−13
 
 470級女子 20カ国38艇参加 2レース実施
 8位  近藤 愛 ・ 鎌田 奈緒子  アビームコンサルティング
   4−16
 
 470級男子 28カ国83艇参加  2レース実施
 16位  原田 龍之介 ・ 吉田 雄悟  アビームコンサルティング
   13−8
Photo by Princess Sofia MAPFRE
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JPN27は世界選手権で27位だった石橋・牧野組。セール番号は世界選手権の順位をつけるのが49erのきまりごとで、見ている人にわかりやすいです。
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初日のトップはスペインのデフレスネ組。アテネでは470で銀、バルセロナ92ではヨーロッパ級で銀メダルを獲得した、大一番に強い選手です。
Photo:添畑 薫
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マヨルカの街中にひらめく大会のバナー。その中心で笑顔でトラピーズしているのは、なななんと、JPNマッキーではありませんか。
Photo:添畑 薫
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大会プログラムの表紙も同じ絵柄ですが、49erの牧野選手が、いまやマヨルカで一番有名なセーラーになってしまいました。

 

 

Photo:添畑 薫
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チームアビームはオランダでコンテナから貨物を引取り、JSAF号に荷持つを積んで出発準備完了。 


Index 2008年プリンセスソフィア杯 第2日目
Photo:添畑 薫
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予選第3レースではトップフィニッシュを飾った石橋・牧野組。マヨルカ島で一躍有
名になったマッキーは好調です。 
2日目は風がないという予報に反して、中風のコンディションの中で470は2レース、49erは3レースを行いました。

予選第3レースでは石橋・牧野組がトップをとりました。大会ポスターになったクルーの牧野ですが、世界選手権の時よりも中風域では上位チームのスピードについていかれるようになってきました。スタートから思い切りがよいと、1−2番がとれるようになりましたから、レースを重ねるたびに安定度をましていくことが目標でしょうか。日本では1艇での練習ばかりですから、相手がいる中でのレースが練習になります。

470女子は近藤・鎌田組がなかなか安定しません。トップ10にくいついているものの、イタリア、ドイツが中風域では非常に安定した走りで、5位以内で固めてきています。女子は38艇ですから、1グループでのレースとなり、ミスをすると簡単に20番台をとってしまいますから、集中が大切です。

プリンセスソフィア杯は、11種目で開催されていますが、参加艇の中でもっとも良い成績のチームがソフィア杯を手にします。クラスにより参加艇数とレース数などを計算して割り出します。その仕組みのせいか、各クラスのトップをいく選手達はトップや2位をとっても安心せずに、ひたすら少ないポイントでの優勝を目指していますし、他クラスのトップスコアにもコーチ達は目を光らせています。ソフィア杯は、マヨルカの王宮での閉会式で、スペインのソフィア女王から直接トロフィーを受け取るため、ただ勝つだけでなく、全クラスのトップになることが目標になるのです。オリンピッククラスだけでなく、過去にファン・カルロス国王がオリンピックを目指したドラゴン級も含まれており、バルセロナ五輪でソリング級の選手だったフィリペ王子やソウル五輪で470女子の補欠代表だったクリスティナ王女、一家そろってのセーリングファミリーでセーリング競技をサポートしているため、ソフィア杯は多くのセーラーが城での表彰式を目指して頑張る大会です。

この伝統ある大会ですが、「火曜日は吹く」というジンクスがあります。大会3日目の火曜日、今年はどうなることでしょうか。

日本選手の成績:
 日本からは3クラス3艇、6選手(男子4名、女子2名)出場します。
 49er級  22カ国52艇参加 予選2グループ3レース実施
 12位  石橋 顕 ・ 牧野 幸雄  福岡ヨットクラブ(Team Believe)
   2−13−1−16−8
 
 470級女子 20カ国38艇参加 1グループで2レース実施
 10位  近藤 愛 ・ 鎌田 奈緒子  アビームコンサルティング
   4−16−7−20
 
 470級男子 28カ国83艇参加  予選2グループ2レース実施
 22位  原田 龍之介 ・ 吉田 雄悟  アビームコンサルティング
   13−8−19−16
Photo:添畑 薫
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やっぱり、トップフィニッシュに限る!
Photo:添畑 薫
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石橋・牧野組の中軽風での走りは思い切りがよくなりました。


Index 2008年プリンセスソフィア杯 第3日目

予報では南からの強風になっていましたが、実際に吹いた風は北からで、しかもレースエリアには不安定な入り方をしたため、スタートがやり直しになるクラスもあり、難しい展開になりました。

470女子は近藤・鎌田組がトップと8位で総合7位にあがりました。前をいくスペイン、ドイツは非常に安定した走りですが、イタリアが崩れた1日で、3位に後退しました。昨年のチャンピオンであるオランダが5位にいますが、女子は北京五輪本番でメダルを狙う国々が、しっかりと形になりつつある模様です。アルゼンチンとオーストラリア以外はほぼ面子が出揃っています。

予選を行っていたクラスは今日で予選グループが終わり、明日からは決勝のゴールド、シルバーに分かれてのレースとなります。470男子に参加している原田・吉田組は今日の2レースをBFD,OCSとたたいてしまい、ゴールドフリートに残ることができませんでした。

49erは3レースを行い、上位でふんばっています。アップダウンがあるものの、良い時に5番以内を確実にキープできるようになってきました。北風では岸に近いエリアになりますから、波が少なく、シフティーなコンディションは得意なのかもしれません。メダルレースまであと3艇抜くのが目標です。

日本選手の成績:
 日本からは3クラス3艇、6選手(男子4名、女子2名)出場します。
 49er級  22カ国52艇参加 予選2グループ3レース実施
 13位  石橋 顕 ・ 牧野 幸雄  福岡ヨットクラブ(Team Believe)
   2−13−1−16−8−6−18−4
 
 470級女子 20カ国38艇参加 1グループで2レース実施
 7位  近藤 愛 ・ 鎌田 奈緒子  アビームコンサルティング
   4−16−7−20−1−8
 
 470級男子 28カ国83艇参加  予選2グループ2レース実施
 47位  原田 龍之介 ・ 吉田 雄悟  アビームコンサルティング
   13−8−19−16−BFD−OCS


Index 2008年プリンセスソフィア杯 第4日目

予選グループでレースをしていた49er、470男子、RSX男子は今日から決勝グループのゴールドとシルバーに分かれてのレースが始まりました。13位で決勝に残った石橋・牧野組は上位グループの中で簡単に前を走らせてもらえませんが、それでも少しずつペースがつかめてきたようです。中風で始まったレースは徐々に弱まる風の中で3レースを行いました。

470女子は昨日スタート前にティラーを破損してDNCになっていたイタリアがよみがえりましたが、3位を2回とって一気に5位まであがってきたイギリスの活躍がめだった日でした。ドイツは2個目の英語スコアがつき上位争いから脱落しましたし、オーストリアも崩したおかげで、近藤・鎌田組は12−6というスコアながらもトータル6位にあがりました。軽風シリーズながらもじりじりと3位まであがってきたオランダチームは北京対策をしっかり進めているようで、成果がでているのでしょうか。

ソフィア杯総合のほうは、ラジアル級のニーマン選手(ドイツ)がオールトップという成績で圧倒的なリードです。フィン級のベン・エインスリー、レーザー級のポール・グディソンが追っています。

20日はフリートレースの最終日となりますが、上位10艇が21日のメダルレースへ進みます。

日本選手の成績:
 日本からは3クラス3艇、6選手(男子4名、女子2名)出場します。
 49er級  22カ国52艇参加 決勝2グループ3レース実施
 15位  石橋 顕 ・ 牧野 幸雄  福岡ヨットクラブ(Team Believe)
   2−13−1−16−8−6−(18)−4−18−15−7
 
 470級女子 20カ国38艇参加 1グループで2レース実施
 6位  近藤 愛 ・ 鎌田 奈緒子  アビームコンサルティング
   4−16−7−(20)−1−8−12−6
 
 470級男子 28カ国83艇参加  決勝2グループ2レース実施
 45位  原田 龍之介 ・ 吉田 雄悟  アビームコンサルティング
   13−8−19−16−(BFD)−OCS−1−2

Index 2008年プリンセスソフィア杯 第5日目

20日は朝から強い風が吹き、少し弱くなったのでレースをする予定が、今度は弱くなりすぎてしまい、470はスタートしたレースが途中で中止となり、その後もレースができずに終りました。最終日のメダルレースに進む上位10艇は昨日までの10レースで決まりました。

470男子はイタリアのザンドナ組が24点のリードをもってトップで入ります。女子もイタリアのコンティ組がトップですが、ダントツのザンドナとは異なり、2位と1点、6位の近藤まで18点差という僅差でメダルレースに入ります。

49erは2レースを行い、石橋・牧野組は15位とかわらずでした。49erはプリンセスソフィア杯のあと、引き続き、同じ場所でヨーロッパ選手権が始まります。

21日金曜日はイースターフライデーでヨーロッパの多くの国はホリデーに入ります。6位でメダルレースに入る近藤・鎌田組はメダルレースで表彰台への逆転も可能ですから、もうひとふんばりです。

日本選手の成績:
 日本からは3クラス3艇、6選手(男子4名、女子2名)出場します。
 49er級  22カ国52艇参加 決勝2グループ2レース実施
 15位  石橋 顕 ・ 牧野 幸雄  福岡ヨットクラブ(Team Believe)
   2−13−1−16−8−6−(18)−4−18−15−7−11−15
 
 470級女子 20カ国38艇参加 1グループでレースなし
 6位  近藤 愛 ・ 鎌田 奈緒子  アビームコンサルティング
   4−16−7−(20)−1−8−12−6
 
 470級男子 28カ国83艇参加  決勝2グループレースなし
 45位  原田 龍之介 ・ 吉田 雄悟  アビームコンサルティング
   13−8−19−16−(BFD)−OCS−1−2


Index 2008年プリンセスソフィア杯 第6日目(最終日)

最終日のメダルレースは強風の中で全クラスが順番にスタートし、特に470女子は最終結果が大きく動く結果となりました。

日本からは近藤・鎌田組が6位でメダルレースに残り、レース成績の倍のポイント(1位だったら2点)で、しかもカットすることのできないメダルレースを3位、トータルはかわらず6位でした。

470女子は強風では男子の上位選手とかわらない走りを見せるオランダが敵なしの走りでトップをとり、そのまま優勝も手中に収めました。デコニング組は、元は軽風の弱いチームでしたが、青島対策にとりくみ、体重コントロールに始まり、リグやセールの研究、走らせるテクニックから、軽風でのストラテジーやタクティクスの見直しをはかり、オールラウンドに力をつけました。最後が得意の強風パターンになり、チーム力アップの成果がでていることを証明した大会となりました。2位のスペインはアテネで銀メダルをとってからしばらく470から離れていたデフレスネが新しいクルーとチームを作って復活してきました。1月の世界選手権で国枠をとり、今回の選考でスペイン代表になり、次は青島への準備です。本番で勝つことための準備を確実にできる選手なので、手ごわい相手が復活した印象が残りました。

3位のイギリスは吹くと速いチームですが、前半の軽風で苦しみながらも、後半の追い上げにはチームGBRのパワーを感じさせます。メダルレースの最後のダウンウィンドで近藤・鎌田を抜き、2位でフィニッシュしましたが、総得点がイタリアと同点になりメダルレースで勝ったイギリスが3位を獲得しました。1位でメダルレースに入りながら、同点で4位に甘んじたイタリアにとっては、最悪の結果になりました。

今回は非常にハイレベルなプリンセスソフィア杯の争いになりましたが、2位を捨てレースとしてオールトップで快走したドイツのぺトラ・ニーマン(ラジアル級)が優勝となりました。素晴らしい成績ではあるのですが、ラジアル世界選手権でニーマン以外の全トップ選手がニュージーランドにいった留守のもので、ドイツ代表に決まっているニーマンだけがこの大会を走っての勝利に、フィン級や470男子のようにメダルレースをまたずに優勝が決まっていたという大差で強豪がそろう中での激戦を勝ち抜いた他クラスの選手は苦笑いでした。

49erは引き続きマヨルカでヨーロッパ選手権が始まります。470チームは4月7日からのガルダオリンピックウィークが次の大会になります。

日本選手の最終成績:
 日本からは3クラス3艇、6選手(男子4名、女子2名)出場します。
 49er級  22カ国52艇参加 
 15位  石橋 顕 ・ 牧野 幸雄  福岡ヨットクラブ(Team Believe)
   2−13−1−16−8−6−(18)−4−18−15−7−11−15
 
 470級女子 20カ国38艇参加 メダルレース
 6位  近藤 愛 ・ 鎌田 奈緒子  アビームコンサルティング
   4−16−7−(20)−1−8−12−6ーM3
 
 470級男子 28カ国83艇参加 
 45位  原田 龍之介 ・ 吉田 雄悟  アビームコンサルティング
   13−8−19−16−(BFD)−OCS−1−2
Photo by Princess Sofia MAPFRE
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メダルレースを戦う近藤・鎌田組。
Photo by Princess Sofia MAPFRE
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これまでに出た大会のほとんどでメダルレースに残ってきましたが、470女子はメダルレースの顔ぶれがいつも同じです。


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