● レース情報 / Race Informations 

2008年49er級世界選手権

斎藤 愛子氏のレポートです
Photo:斎藤 愛子
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49er級オリンピック出場枠を獲得!!


関連サイト:
大会全体のURL
http://www.sailmelbourne.com.au/events/
  (上記のサイトで49er World Championship をクリックしてください。)
49er世界選手権 http://www.sailmelbourne.com.au/event/49erworldchampionships2008/

Index 2008年49er級世界選手権

オーストラリア・メルボルン郊外のソレントで、2008年49er級世界選手権が始まります。大会の詳細は下記のとおりで、日本からは2チームが参加し、北京五輪出場枠の獲得と代表の座をかけて戦います。(国枠をとった選手が代表になります)

開催地: オーストラリア ビクトリア州 ソレント (メルボルン郊外)
参加国: 29カ国 80艇
日 程: 12月31日ー1月2日 受付と計測 (日本チームは1月1日13時より計測)
  1月3日 プラクティスレース
  1月4日ー6日 予選シリーズ(9レース)
  1月7日ー9日 決勝シリーズ(8レース)
9日の最後に上位10艇がメダルレース

日本からの参加:
石橋 顕 イシバシ アキラ ・ 牧野 幸雄 マキノ ユキオ
   (福岡ヨットクラブ)
轟 賢二郎 トドロキ ケンジロウ ・ 高橋 賢次 タカハシ ケンジ
   (関東自動車工業)

大会のみどころ:
日本の2艇は国枠を獲得しなければ北京五輪への道が続きません。29カ国参加のうち、13カ国は2007年世界選手権で枠を獲得しています。また、中国もホスト枠ですから、残り15ヶ国で5枠を争う厳しい戦いです。大会はグループに分けての予選シリーズを行い、上位25艇がゴールドフリートとなります。枠をとるためには決勝でのゴールドフリート入りが必至です。大会前の練習では、枠のとれていない国の多くは早めに現地入りをして強化しています。石橋・牧野は10月からオーストラリア遠征を繰り返し、現地でのローカルレースにも参加したり、着実に準備を重ねてきました。また、轟・高橋組は12月19日から現地練習に取り組み、本番に備えています。
レースが行われるソレントはフィリップス湾の出口に近い場所で、水温19度、気温は暑い日には40度(平均すると30度くらいですが・・・)、オーストラリア大陸の熱気とタスマニア海の冷気がぶつかる場所です。クリスマスには雹がふって水不足が続いていたメルボルンに1週間の雨が降りました。年があけて夏らしくなりましたから、期待どおりの強風シリーズになるのではないでしょうか。心配なのはレースエリアの水深が4メートルしかないことで、沈は絶対に避けなければなりません。また、エリアの潮は最大で1ノットあります。ちょうどオリンピックが開催される中国の青島のように流れの向きは満ちと引きで変化しますが、マークに接触することも大きなミスへとつながります。2007年の世界選手権の後、誰が一番練習を重ねてきたかの勝負となることでしょう。ボートハンドリングとレースストラジーが鍵です。

大会全体のURL
http://www.sailmelbourne.com.au/events/
ここの中で49er World Championship をクリックしてください。

国枠をとった選手が日本代表になります。上位で枠がとれるよう、4日から応援をよろしくお願いします。

Photo:斎藤 愛子
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轟・高橋組
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石橋・牧野組

 

 

 


Index 2008年49er級世界選手権 第1日目
Photo:斎藤 愛子
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オープニングレースのスタート。透明なセールで27艇のスタート。スタート直前はドキドキします。
1月4日 − 予選3レース

エントリー受付が終わり、30カ国81艇が参加しての世界選手権が始まりました。
81艇は3グループに分けられ、今日から3日間で予選9レースを行います。初日は東からの風が5−7メートルと、絶好のコンディションでした。この季節の東風は珍しいのですが、ちょうど高気圧のへりにあたり、弱まりながら北へ若干シフトしていこうとするのと、海風が右から入ろうとするのとで、変化が大きく、トップスピードをキープするのが難しいコンディションの中でのレースでした。決め手は右からはいるガストの中で長い距離を走ることで、このガストを見逃した艇は置いていかれてしまう展開でした。

石橋・牧野組は第1レースの1上マークを8位で回航し、そのあとも10番でキープしていたのですが、最後のダウンウィンドレグの途中でクラブレース用の固定ブイを避けたつもりが、ジェネカーのリトリーバルロープがブイの標識にひっかかり沈してしまい、順位を大きく落としてしまいました。走りも良かっただけに、もったいないミスでした。轟・高橋組の1レース目は、1レグでのコースどりでタックを返す場所が悪く、1上マークをフリートの後半で回っていたのですが、少しずつ挽回し、12位でフィニッシュ。続く第2レースは10位、第3レースは7位と尻上がりです。

まだ予選3レースですが、すべりだしの調子で国枠どりの状況を見てみると、枠のとれていないUSバージン諸島、ブラジル、フィンランド、スエーデン、オランダ、ノルウェー、ギリシャの7カ国が27位の轟組よりも前にいます。これに日本、アイルランド、クロアチアを加えて5枠を争うことになりそうです。

日本選手の成績
 30カ国81艇が参加
 本日予選3レース
 27位  轟 賢二郎 ・ 高橋 賢次  関東自動車工業
   12−10−7
 
 51位  石橋 顕 ・ 牧野 幸雄  福岡ヨットクラブ(Team Believe)
   18−13−19

予選第1日の全体成績
http://www.yachting.org.au/site/yachting/event/14245/overall_2_1.html

Photo:斎藤 愛子
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1上マークを8位で回航して石橋・牧野組(JPN985)
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空を飛ぶのはオーストラリアのオタリッジ組。49erの醍醐味です。

 

 

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ジェネカーダウンは50mダッシュのようなもの。クルーは持久力が必要です。轟・高橋組はミスもありましたが落ち着いてレースできていました。
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強弱のある風の中ではジャイブポイントが肝心です。水深4mのレースエリアでは沈したくないです。
 


Index 2008年49er級世界選手権 第2日目

1月5日 − 予選3レース

2日目のソレントは朝から10ノット前後の北風が吹き、13時過ぎに海風の影響で東に回る時間帯がありましたが、その後も北東へ戻った6−8ノットの中で予選3グループが3レースずつを消化し、合計6レースで1カットになりました。

今日は日本の2チームとも赤組で、後スタートの組になりましたが、運営は早めに海風の影響がでて風がなくなってしまうとレース数がグループごとに異なってしまうため、黄組を2レースでいったん陸へ戻し、同じエリアで赤組の3レースを行いました。エリアは2海面ありますが、今日は昨日と異なる北側のエリアでのレースでした。

第4レースは轟7位、石橋11位と、今日はいい始まりだったのですが、第5レースで轟はスタートでBFDにかかってしまいました。石橋は昨日の沈からしっかり建て直しをしてきて、6位でフィニッシュ。続く第6レースも9位でまとめ、トータルで38位にあがりました。轟は第6レースのスタート後、右海面へのばしたときにラルにはまり、19位と崩してしまい、トータル34位に後退しています。コースが短いので、良いスタートと1上マークまでにトップグループに食いついていくことが重要です。2チームとも10ノットの風なら上位艇と勝負できるので、明日の予選最終3レースをがっちり上位でかためてほしいです。明日は、何かにとりつかれたような、神がかった走りで、ゴールドフリート(25位以内)に残ってくれることを祈ります。

気になる国枠ですが、大激戦です。ブラジル、ノルウェー、USバージン諸島、フィンランド、スエーデン、アイルランド、ギリシャ、が前にいます。ブラジルは少し抜け出ていますが、残りの国は点差がノルウェーまでは轟から21点ですから、明日のできで変動がある範囲です。ゴールドに残れば、国枠もとれる順位になる様子がみえてきました。他の国も緊張すると思いますが、轟組、石橋組、ともにゴールドフリートを狙えますから、日本からも応援をお願いします。シルバーフリートまで枠がおりてくるかは、他の国しだいです。4年前のアテネ五輪の予選でも、中村・高木組がゴールドに残って枠をゲットしました。北京へむけて、ここ一番で集中してほしいものです。

今夜のうちに気圧の谷が通過するため、明日は北風が南西にかわり15−20ノットの予報がでています。予選最終日はオリンピック国枠どりの最初の山になります。

日本選手の成績
 30カ国81艇が参加
 本日予選3レース
 34位  轟 賢二郎 ・ 高橋 賢次  関東自動車工業
   12−10−7−7−(BFD)−19
 
 38位  石橋 顕 ・ 牧野 幸雄  福岡ヨットクラブ(Team Believe)
   18−13−(19)−11−6−9

予選第2日までの全体の成績
http://www.yachting.org.au/site/yachting/event/14245/overall_2_1.html

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第4レース2上マークで、ワールドチャンピオンのGBRに先行して回る轟・高橋組。フィニッシュまで抜かれませんでした。
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混戦の中でふんばる石橋・牧野組。今日は落ち着いていました。

 

 

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潮が1ノット近く流れ始め、ゼネリコを繰り返しましたが、コーチボートはピンエンド外側からビデオでラインを撮影するのに必死です。
 
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BFDの表示が本部船のスターンに掲示され、轟・高橋組は大当たりで読まれてしまいました。
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下ゲートを回航したあとの石橋・牧野組。ダウンウィンドの艇群の中に埋もれてしまいそうです。

 

 

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第5レースと第6レースの間は1時間あいてしまい、風待ちの時の牧野選手。次の風はどっちからくるのかと、じっと遠くを見ています。
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GBR1は世界チャンピオンのモリスン/ロード組(イギリス)。セール番号は世界選手権のランク順に番号をつけます。
 


Index 2008年49er級世界選手権 第3日目

1月6日 − 予選最終日3レース

強い南西の風の中、予選最終日の3レースが行われ、オーストラリアらしい迫力のあるサバイバルレースとなりました。日本の2艇は残念ながらゴールドフリートに残ることができませんでしたが、上位25艇の中に、前回の世界選手権で国枠がとれていないブラジル、ノルウェー、スエーデンが入ったため3枠が決定し、残りの2枠をシルバーフリートの中で争うことになりました。(ゴールドフリートの最終順位がシルバーフリートの艇に逆転することはありません。)

南西200度からの風は10時頃から吹きはじめたのですが、赤組がスタートした11時45分には15ノットを超え、最終の第9レースは平均で20ノット、時折、25ノットを超えるガストが入るコンディションでした。瞬間では30ノット近いイン パクトのものもあったと思われます。そんなサバイバルな中で、今日も石橋組、轟組ともに力いっぱい走りました。轟組は最終レースの途中で沈をし、タイムリミットにまにあわなくなりましたが、石橋組はサバイバルの中で気迫の走りをみせ5位をと り、トータルで31位にあがりました。石橋、牧野のダウンウィンドは牧野の気合を いれるおたけびが聞こえてきそうな壮絶な走りでした。上位の艇も沈する中で、しっ かりフィニッシュしてきた時には、見ていた私のほうが、ヨッシャと、思わずガッツ ポーズでした。セーリングは優雅でもありますが、サバイバルな中では他のどの競技 よりもハードな要素を持ち合わせています。今日のような荒れた海で49erを乗り こなす選手を見ていると、かっこいい!の一言につきます。

2艇ともゴールドフリートには残れませんでしたが、国順位は昨日よりもあがり、枠 がとれていない国で前にいるのはゴールドに残って勝ち抜けになったブラジル、ノル ウェー、スエーデンの3カ国と、この先シルバーフリートで2枠を争うフィンラン ド、アイルランドです。背後にいるクロアチア、USバージン諸島、オランダ、ギリ シャも軽風では強いのであなどれませんが、日本は昨日よりも前進しましたから、希 望をもって明日からの決勝シリーズを戦います。ゴールドフリートの中ではワールドタ イトルがかかって接戦となりますが、シルバーフリートはオリンピックへの最後の切符を かけて、もっと激戦になると思います。最後まで、益々の応援をよろしくお願いしま す。ここから先は別グループに分かれず、シルバーの中で直接対決になります。決勝シリーズには予選9レースからもっとも悪い1レースを引いたポイントをもってい き、決勝シリーズでは8レースを予定しています。

今日前線が通過していきましたので、明日も南からの流れで風が吹きます。朝のうち は10ノットくらいで、午後から20ノットにあがる予報がでています。スタートは 10時、シルバーフリートはC海面、中風域での走りっこになりそうです。

日本選手の成績
 30カ国80艇が参加
 本日予選3レース
 31位  石橋 顕 ・ 牧野 幸雄  福岡ヨットクラブ(Team Believe)
   18−13−(19)−11−6−9ー7−13−5
 
 41位  轟 賢二郎 ・ 高橋 賢次  関東自動車工業
   12−10−7−7−(BFD)−19−12−11−DNF

予選第3日までの全体の成績
http://www.yachting.org.au/site/yachting/event/14245/overall_2_1.html

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スペインのアロンソ組の内側で沈しているのはアイルランド艇。次のレー スでトップをとっている彼らが国枠とりの上で大きなライバルですから、この撃沈は 日本にとって救いの沈でした。
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吹き上がってきた中でベアがたいへんな上マークで先行する轟組にイギリ スのメイソン組がのりかかってきそうな勢いです。

 

 

Photo:斎藤 愛子
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うわ、激突かと思いきや、スターボードタックのイタリアはポートタック のデンマークを避けて沈。プロテストの結果、デンマークが失格になりました。20 ノットを超えると急激な舵使いは49erにとって致命傷です。
 
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かっとぶ石橋・牧野組。クルーのマッキーがほえる声が聞こえてきそうな 気迫の走りでした。
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第9レースはサバイバルで13艇しかフィニッシュできませんでした。一 度に10艇が沈していた、白波で真っ白なレース海面には30ノット近いガストが吹 き荒れました。

 

 

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そんな中でずば抜けてきたGBR1はワールドチャンピオンの貫禄十分で す。あぶなげない走りでトップを爆走。
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サバイバルを生き残った石橋組は6位でフィニッシュ。
でも前で入ったデ ンマークが失格になったため5位にあがりました。国枠とりにあと1カ国までせまっ てきました。
 


Index 2008年49er級世界選手権 第4日目

1月7日 − 決勝シリーズ3レース

決勝シリーズは南の風が10ノットでスタートしました。日本の石橋・牧野組、轟・高橋組ともにシルバーフリートでのレースですが、今日は決勝第1レースで石橋・牧野組が最初のマークをトップで回り、何かいいことがありそうな予感がしました。石橋組は下ゲートマークで左右に分かれて回った際に悪いほうのサイドへいってしまい、4位に落ちてしまったのが残念ですが、今日は安定したレース運びで4−7−5とまとめました。轟組は第1レース、第2レースともにレースエリア内で風のむらがでてきた時に風がない場所にはまってしまい、アップダウンの激しい1日でしたが、第3レースではスタートからじわじわと前へ出て、1上からトップに出ると、途中ギリシャと競ったものの、2上の回航で、スターボードでアプローチする轟組とポートアプローチとなったギリシャがマーク際でミート、ギリシャのスキッパーが転がって沈(写真)。轟はその後あぶなげなくトップフィニッシュを飾り、気持ちを明日へつなげました。

いい知らせは、今日の3レースで他の国が崩れ、石橋組はシルバーフリートの2位にあがりました。1位はオーストラリアですから、現在、シルバー内の2国枠のトップということになります。やっと届きました。日本の次はクロアチア、オランダ、フィンランド、ギリシャ、USバージン諸島、アイルランドの順になります。アイルランドが1日でこれだけ落ちてしまった理由は、得点のつけ方で、予選の9レース中8レースの合計点を決勝へ持ち越し、決勝3レースは今のところカットがないからです。今日のできの悪さがそのまま成績に現れました。日本とクロアチアはともに枠争いだけでなく、代表1チームの選考もこの大会にかかっています。その競り合いの力が国枠とりにつながってくれることを残りの2日に期待します。

ゴールドフリートでもアップダウンがありました。ずっとトップをキープしてきたオーストラリアのオタリッジ組は今日の3レースで崩して3位に落ち、アテネ五輪の金メダリストのスペイン(マルチネス組)が手堅く走りトップに出ました。2位はウクライナのルカ組(アテネ五輪の銀メダリスト)です。

明日は決勝シリーズ第2日、10時スタートで3レースを予定しています。今日も風は予想より弱めでしたが、明日も南からの流れで海風要素が加わり、変化の多いレースとなりそうです。

日本選手の成績
 30カ国80艇が参加
   上段が予選、下段が決勝の成績、( )内はカットレース
 本日決勝3レース
 2位  石橋 顕 ・ 牧野 幸雄  福岡ヨットクラブ(Team Believe)
   18−13−(19)−11−6−9ー7−13−5
 シルバーフリート
   4−7−5
 
 9位  轟 賢二郎 ・ 高橋 賢次  関東自動車工業
   12−10−7−7−(BFD)−19−12−11−DNF
 シルバーフリート
   12−15−1

決勝第1日までの全体成績
ゴールドフリート
http://www.yachting.org.au/site/yachting/event/14245/Overall_2_4.html

シルバーフリート
http://www.yachting.org.au/site/yachting/event/14245/Overall_2_3.html

Photo:斎藤 愛子
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轟・高橋組は決勝第3レースでトップをキープ。2上マークではギリシャとの接戦。ギリシャのスキッパーは轟組のスターンをなめてタックしようとしたものの、最後にあせって下側へすべって転んでしまい、沈。これで楽になった轟組は念願のトップフィニッシュを果たしました。
Photo:斎藤 愛子
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「ダントツだったから、1mで1点、2mで2点と離した距離だけ差がつ いてくれたらなぁ。(轟)」、「自分でフィニッシュラインだと思った時にホーンが ならなかったのでリコールかと思ってあきらめたんですけど、後からなったから良 かった。リコールじゃないかと成績表見るまで、心配で心配で・・・(高橋)」
Photo:斎藤 愛子
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「轟さん、トップがキープできてうらやましい。自分達も1レース目は1 上でトップだったのに・・・難しいレースでした。明日、がんばるぞ!(牧野)」

 

 

 



Index 2008年49er級世界選手権 第5日目

1月8日 − 決勝シリーズ3レース

朝はどんより曇り。低い位置にできた雲から小雨もぱらつきました。気温が16℃ で、風も弱く、1時間の陸上待機となりました。11時前にまず、ブロンズフリート がC海面でレース開始、次にシルバーフリートがB海面でスタートしました。今日は 1日中風の強弱とシフトがあり、選手は苦労しました。石橋組、轟組、ともにアップ ダウンの激しい展開でしたが、大きく崩れることなく、無難にまとめた1日でした。

49erは風の強いブローに少しでも長くのって走ったほうが有利です。海面の中に 弱い場所があると、あっという間に300mくらいの差がついてしまうのです。轟組 はダウンウィンドのコースでうまく風をひろった時には10番台から一挙に3位まで あがることができました。

石橋組は今日もシルバーフリートの総合2位をキープし、1位のオーストラリアとは 3点差です。国枠は昨日同様トップです。2番手のクロアチアとは20点以上はな れ、3番手のオランダとは33点離れました。石橋組にとって、明日最終日で脅威と なるのは、国枠獲得で追撃してくる他国のチームよりも代表目指して120%で挑ん でくる轟・高橋組でしょうか。轟組は今日も3位を2回とって6位まであがってきま した。たったひとつの座をめぐって、最後の2レースで結果がでます。国枠獲得と日 本代表は明日の成績で決まりますが、思い切り、自分のレースをして力をだしきった ほうが勝つでしょう。ここまできたら、あとは勢いだけです。

ゴールドフリートも上位3艇が1点差でタイトルを争う大激戦になっています。ゴー ルドフリートは今日4レースを実施したので、明日は1レースした後、メダルレース へ残る10艇とそれ以外に分かれてレースをします(シルバーフリートは2レースを 予定しています)。オーストラリアのオタリッジ組とイギリスのモリソン組が同点、 ウクライナのルカ組が1点差で並んでいます。どの大会でもしぶとく背後からあがっ てくるイギリスには驚きますが、ウクライナもベテランの味をだして激戦を勝ち抜く かもしれません。若手のオーストラリアチームが地元パワーに後押しされて逃げ切る のか、プレッシャーに押しつぶされるのか。最終日はタイトル争いからも目が離せま せん。

明日は南からの風が10−15ノットと予報がでています。10時スタート予定で、 最終レースは15時までにスタートしなければなりません。最終日、国枠が確実にと れますよう、応援をよろしくお願いします。

日本選手の成績
 30カ国80艇が参加
   上段が予選、下段が決勝の成績、( )内はカットレース
 本日決勝3レース
 2位  石橋 顕 ・ 牧野 幸雄  福岡ヨットクラブ(Team Believe)
   18−13−(19)−11−6−9ー7−13−5
 
 シルバーフリート
   4−7−5ー4−(11)−6
 
 6位  轟 賢二郎 ・ 高橋 賢次  関東自動車工業
   12−10−7−7−(BFD)−19−12−11−DNF
 
 シルバーフリート
   12−(15)−1−3−13−3

決勝第1日までの全体成績
ゴールドフリート
http://www.yachting.org.au/site/yachting/event/14245/Overall_2_4.html
シルバーフリート
http://www.yachting.org.au/site/yachting/event/14245/Overall_2_3.html

Photo:斎藤 愛子
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上マークでジャイブホイストの動作中(石橋・牧野組)
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石橋のサポートで原コーチ(以前、PSJでレーザーを作っていました。
シドニー五輪でレーザーのキャンペーンをした後は、北九州で造園業です。)と江口 トレーナー(アテネではウィンドサーフィンチームのトレーナー。スキーでオリン ピック選手のサポートをしています。)今日は選手以上に緊張のおももちでした。

 

 

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スタートラインで石橋とイギリスのメイソン組。GBR若手は今はまだあ やふやながらも、ロンドン五輪用の強化選手です。
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轟・高橋組の上マークアプローチ。今日は3位を2回とり、明日へつなげ ました。昨夜は470チームの来訪をうけ、中村健次コーチから「気合だ〜!」と はっぱをかけられたそうです。
 
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ゴールドフリートは4レースを実施。岸近くで、センターボードがつくの ではないかと思われるほど浅い場所を通過した艇もいました。しかし、トップ集団は 最後の左からのブローでポートアプローチしてきました。
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オーストラリアのオタリッジ組。イギリスと同点ですが今日までのトップ になりました。

 

 

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地味ながら、気がつけばオーストラリアと並ぶところまできていたワール ドチャンピオン。連覇は明日にかかっています。
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僅か1点差で3位のルカ組(ウクライナ)。明日の1レースとメダルレー スで勝負が決まります。
 


Index 2008年49er級世界選手権 第6日目(最終日)

1月9日 − 風が安定せずシルバーフリートは 時間内にレースできずに大会終了

朝から南東の風が10ノットほど吹いていたので、レースは10時にスタートしたの ですが、直後に左へ風向が変化してしまい、中止となり、やり直しで海上待機をしま した。上空に雲がひろがり、まったりしてしまった後は、左右に大きくシフトする不 安定な軽風となり、最終日のタイムリミットである11時55分になろうとする頃に 終了の旗があがりました。シルバーフリートは昨日までの成績で最終となり、日本は 国枠を獲得するとともに、石橋・牧野組が北京五輪の代表に内定しました。

こんな幕切れだったせいか、海上では石橋、牧野ともにしんみりと喜びをかみしめ、 陸にあがって海外の友人達から祝福されるうちに、やっと笑顔がでてきました。「こ れからです。もっと上位を目指して、精一杯努力します。初日が終わったときが一番 きつかった。どうなるかと思ったけど、勝ち取れて、ほんとうにうれしいです。(石 橋)「本番にむけてがんばりますよ。僕は特にきついと思ったことはなかったけ ど・・・(牧野)」といいつつも、涙ぐむマッキーでした。

轟・高橋組は最後まで健闘しました。予選シリーズでBFDと沈でリタイアした2つ の大きなミスが最後まで取り戻せない30点を作ってしまいました。しかし、この3 年半のキャンペーンで、轟・高橋がいて、49erをひっぱってきたから石橋・牧野 組が誕生し、江ノ島や福岡でともに練習を重ねてきた日々があったからこそ、今回の 日本が49erで国枠をとることにつながったのです。最後に1艇しかオリンピック に行かれないのですから、勝負は厳しく、残酷です。轟選手、高橋選手、残念で悔し い気持ちは、ロンドン五輪へつなげてください。

ゴールドフリートも昼までにレースができませんでしたから、昨日の成績で上位10 艇がメダルレースに進み、15時から18ノットの海風が吹く中でメダルレースを行 いました。スタート直前に3位のウクライナが沈をし、優勝争いから脱落。オースト ラリアとイギリスの一騎打ちになり、勝ったほうがチャンピオンです。オーストラリ アはスキッパーのオタリッジは470から、クルーのオースティンはレーザーから4 9erに転向してきました。コーチのエメットはシドニー五輪でフィンランドを金メ ダルへ導いた優秀なスキフ乗りのコーチです。基本動作とスピードを徹底的に練習し てきた走りはイギリスを押さえて、堂々とワールドタイトルを獲得しました。

本日をもちまして、49er級世界選手権は終了です。国枠獲得を目指す間に選手が たくましく上達していくのを見て、今からオリンピック本番までに、青島で表彰台に あがるために秘策を打ち出していこうと考えております。まだまだポテンシャルのあ る石橋、牧野が代表になりましたので、今後も精一杯49erに取り組んでいきま す。元旦からずっと応援をいただき、ありがとうございました。

日本選手の最終成績
 30カ国80艇が参加
   上段が予選、下段が決勝の成績、( )内はカットレース
 本日決勝3レース
 2位  石橋 顕 ・ 牧野 幸雄  福岡ヨットクラブ(Team Believe)
   18−13−(19)−11−6−9ー7−13−5
 
 シルバーフリート
   4−7−5ー4−(11)−6
 
 6位  轟 賢二郎 ・ 高橋 賢次  関東自動車工業
   12−10−7−7−(BFD)−19−12−11−DNF
 
 シルバーフリート
   12−(15)−1−3−13−3

全体の最終成績
メダルレース
http://www.yachting.org.au/site/yachting/event/14245/overall_2_5.html

ゴールドフリート
http://www.yachting.org.au/site/yachting/event/14245/Overall_2_4.html

シルバーフリート
http://www.yachting.org.au/site/yachting/event/14245/Overall_2_3.html

Photo:斎藤 愛子
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本部艇にあがったAP+A(本日終了)の合図は、日本が国枠を獲得し、 石橋組の代表が決まった瞬間です。
Photo:斎藤 愛子
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まったりした終わり方だったせいか、マッキーは目頭を思わず押さえてし まいました。石橋も涙ぐんでいました。470から転向し、やっとつかんだ五輪への 道です。

 

 

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陸にあがってお祝いのシャンペンをあけ、やっと笑顔になりました。Te am Believeは左から江口トレーナー、牧野、石橋、原コーチの4名で厳し い勝負を戦い抜きました。おめでとう!
 
Photo:斎藤 愛子
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勝負は残酷です。轟、高橋、残念でした。「僕は次もチャレンジします。 今回の経験は次につなげます!」(高橋)の言葉に悔しさがにじみ出ていました。 IMG_1608 メダルレースは10艇でスタート。18ノットの豪快なレースになりまし た。
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オーストラリアは抜群のボートハンドリングとスピードで、ぶっちぎりの トップを爆走。

 

 

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地味ながら、気がつけばオーストラリアと並ぶところまできていたワール ドチャンピオン。連覇は明日にかかっています。
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見事、ワールドチャンピオンに輝き、コーチのエメット、イギリスチーム のコーチに祝福されています。
 




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