初島卯月レース 参戦記




KSC第一戦 初島卯月レース 参戦記 <カラス>

実は今回の初島レースはカラスにとって、かなり意味の大きな、(プレッシャーのか
かる)レースでした。というのは、憶えている人もいるかと思いますが、前回の10
月の初島レースが最悪の結果で、(怖くてチェックできずに人づてに聞いた話では)
最下位、、、、。スタート後に岸よりに残る風を拾いながら先行し、(そのまま調子
に乗り)さらにラムラインを大きくはずして岸に突っ込み、風がなくなって漂っている
と、はるかかなたの初島の裏側から南の風で小網代へ向かう大小のフネがはじきださ
れてくるという悪夢の光景。それを見ながら初島に向かって上って行く艇上の雰囲
気、「こんなこともあるんだなー?」とか「ここまでひどいと悔しくもない」とかの
会話。(忘れようと誓ったはずの)それらの記憶は週末が近づくにつれ否応なく全員
の脳裏に浮かんでいたはずで、、、。今回は何としても前回の教訓を生かして、(で
もいくらなんでもこないだのようにはなんねぇだろう)という思いで望みました。
 結果はファーストフォーム、クラス1位ということで、ここでレースのレポートを
書く機会を与えられました。(積んでいるコンピュータで取り込み、記憶したログフ
ァイルで完璧な航跡と風の変化を提出するという約束をしてましたが、設定ミスで何
もファイルされてませんでした)。簡単ではありますが、カラス艇上から見たレース
の様子をレポートします。

初島まで
40°を中心にした風で、スタボランニング、風速4〜6ノット。フリート全体の中で
も、ラムラインから見てもやや南よりを走る。はじめ岸よりにのみ残り、沖よりにまで
届かないパフに乗った北よりの艇が伸びた。ビッグアップルが10艇身ほど先行。やや
上をロシナンテが走る。
初島まで10マイル残しぐらいのところ、島が見え初めて、風がかなり落ちる、東に
振れて。後続艇でラムラインを大きくはずした南側の艇で急に伸びた艇があり少し慌
てた。北側をそのままラムラインからはずれて走った艇は大きく遅れた。

初島まで4マイル程度のところで。
ビッグアップルにはかなり近づいたがまだ10艇身ほどの距離。アップルは南の下側。
南からの風を狙うためにポートにジャイブして左側に出ることも考えたが、行こうと
すると風が振れたりして躊躇。
その後、風が大きく南に振れたので(80°くらいか)ポートに返し、艇は初島の左側
を向く、風も良くかったのでこの振れでほぼ真横まで接近。風の振れが戻ったので、
またスタボに返したが、北側に入ったため風が不安定になり、またアップルに先行され
る。もう一度南に出て遅れを取り戻し、島に早くとりついて島に沿ってランニングで回
る。アップルには下側、北側にオーバラップされたまま。(北側の浅いところでは、
アップルにこれ以上島に寄れないと丁寧に主張して、デプスの表示を見ながら恐る
恐る)時間は15時。
初島の北側は、島に近い位置を回航、風が不安定で先の展開が読めないので、アップ
ルに先行されないことに注意した。

初島から小網代に向けてヨタヨタのかたのぼりが始まった。
少し離れたところで後ろを見ると、初島からポートで南に走り続けるロシナンテがかな
り順調に走っている(ように見えた)。たよりなく吹いてくる沖の風を拾いに、南に出
るためにポートにタック、コースに対して若干マイナスの角度でも我慢して風を拾い、
スタボーに返すという繰返しをしながら少しづつ島を離れる。

初島を離れるまでは、風が安定せず、110から130前後、ときおり5ノット程度の風が入
るが本物ではないという感じ(フネの上では、「これ本物の風?」「さっき本物宣言
したら急に落ちたから言うな」とか「タツがトリムに入ると風が落ちる」「早くだれ
かと代われ」とかいう会話と「来た、来た、入った」「落ちてきた」が繰り返され
る)。その後、初島から5,6マイル程度離れたところで、風が上がり7ノット以上の
艇速で順調に走り出す。南側のロシナンテも同じように走りだした、アップルは少し
北側に位置しているだけなのに風が安定していなようで、あまり走れていない様子。

日が落ちたこともあり、岸に近づいたところで風が東に廻ることも予想したが、その
後180度以上になることもあり、小網代ブイまで5マイル程度のところではスピンを
揚げるというシーンもあった。結局、かなり岸に近づくまで、風が東へ、廻っていく
こともなく。小網代ブイからは、(これを使うことはないだろうといいながら用意
した)暗視眼鏡を使って、網をチェックしながら穏やかな海面を、(ビッグアップルも
ロシナンテも離れているので)穏やかな気分で、何度かタックして、フィニッシュ。
20時09分。

最後に、この場を借りて、古い話ですが、前回初島レースの翌々日の月曜日、善意に
満ちた励ましのお電話をくれた方々にお礼をいいます。(でも、今回はなんで誰から
も電話なかったんだろう?)

カラスクルー書