国際セーリング連盟(ISAF)の歴史100年
国際ヨット・レーシング・ユニオン(IYRU)は1907年10月に設立記念式典がパリで開催されたときからセーリング・スポーツの統括組織として認知されている。IYRUはレースを行うには統一した競技規則と計測システムが必要なことから次第に発展して創設された。それ以来、IYRU(現在ではISAF)は競技規則と計測システムを制定し、世界中で使用されている。
1870年まで、個々のクラブがそれぞれに競技規則を持ち、その規則の解釈と適用はそれぞれが全く独自に行っていた。それゆえに別のクラブとのレースが盛んになってきたときには混乱が生じ、また規則が規則として機能しなくなった。
それまでにも英国では統一規則を作成するための試みが何回も行われた。最初の話し合いは1868年6月1日にロイヤル・ヴィクトリア・ヨット・クラブの呼びかけによって組織された「ヨット評議会」である。この評議会には14クラブから23名が出席。評議会はそのときにある全てのヨット・クラブの規則を提出させた。1869年3月4日に評議会が再び開催され、そこで競技規則の原案を検討し承認した。ところが、その規則がヨット関係者に発表されるやいなや厳しい批判が相次いだため結局は白紙に戻ってしまった。
その後も、統合された規則の必要性は高まってきた。しばらくの間いくつもの協会が組織されては、作成した規則が却下されるということが起こっていた。1881年、英国皇太子アルバート・エドワードがロイヤル・テームズ・ヨット・クラブおよびロイヤル・ヨット・スクォードロンの提督だったとき、両クラブはニュー・テームズ・ヨット・クラブと共にヨット・レーシング・アソシエーションに参加して英国水域における一連の規則を立ち上げた。
このことは、ヨーロッパ、北アメリカを始め英国内でも違う計測規則を使っている地域に再び大きな混乱を引き起こした。違う国同士では同じ条件でレースをすることができなくなったからである。ヨット・レーシング・ユニオンの理事長であったブルック・ヘックストール・スミスはフランス・ヨット・クラブに手紙を書き、ヨーロッパ中の国が使えるような国際計測規則を決める必要性を説いた。その結果、1906年1月と6月の2回にわたってロンドンで計測に関する国際会議が開かれ、今日でも12メーター、8メーター、6メーター、およびその他のメーター艇に使われている「メーター規則」が制定された。出席者によって 国際ヨット・レーシング・ユニオン(IYRU)が作られことになり、ヨット・レーシング・ユニオンの規則をもとにしたヨット競技規則が承認された。
その時点でIYRUは、オーストリア・ハンガリー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、英国、オランダ、ベルギー、イタリア、ノルウェイ、スペイン、スウェーデン、スイスのヨット競技統括団体によって組織された。
1992年11月、北米ヨット・レーシング・ユニオンの代表者が年次総会に参加し、北米ヨット競技規則と国際ヨット競技規則はほぼ同一の文章で書かれており、いずれも双方に事前に通知することなく変更しないことを確認した。1960年には統一規則が発効した。
1906年から1946年まで、ユニオンの議長は年次総会でその都度選ばれていた。1946年最初の会長としてラルフ・ゴア卿が選出され、それ以降ISAFはピーター・スコット卿(英国)1955-69年、ベッペ・クローチ(イタリア)1969-86年、ピーター・トルバーグ(フィンランド)1986-94年、ポール・ヘンダーソン(カナダ)1994-2004、ヨラン・ピーターセン(スウェーデン)2005-現在、と5名の会長を擁している。
国際セーリング連盟(元IYRU)は国際オリンピック委員会(IOC)にセーリング競技の世界的統括団体として正式に承認されている。ISAFは国際的なセーリング・スポーツのプロモーション、オリンピックでのセーリング競技の運営、国際セーリング競技規則・レギュレーションの管理、ジャッジ、アンパイア等のトレーニングと管理、世界中でのセーリング・スポーツの普及をもとより、全てのセーリング・スポーツに関する事柄に責任を負っている。
セーリング普及のため、ISAFはいくつかのイベントを始めた。例えば、ISAFワールド・セーリング・チャンピオンシップ(オリンピック艇種)、ISAFワールド・セーリング・ゲーム、ISAFユース・セーリング・ワールド・チャンピオンシップ、ISAFウィメンズ・マッチ・レーシング・ワールド・チャンピオンシップ、ISAFネーションズ・カップ、等。また国際マッチ・レーシンゲ・イベントやオリンピック・クラスのワールド・チャンピオンシップのグレード付けなどにより選手のワールド・ランキングを決めるのもISAFが管理している。
現在、ISAFには121国・地域が加盟し、セーリング競技を管轄するための意思決定を行っている。
ISAFが承認している艇種は現在、最も小さいオプディ・ミスト・ディンギーから最大の60フィート・マルチハルまでの、国際クラス、認定クラス、クラシック・ヨット・クラスと全部で87クラスある。